日本の中距離が熱くなってきた!

7月17日に開催されたホクレン・ディスタンスチャレンジ2021の第5戦千歳大会では中距離で日本記録連発される凄い大会になりました。

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男子800m

まず、男子800mで、源 裕貴(環太平洋大)が日本タイ記録となる1分45秒75で優勝。さらに2位、3位も1分45秒台でほぼ3人同時にゴールに飛び込むような激戦でした。日本記録保持者の川元選手は1分45秒83で2位に入りました。

従来の日本記録は2014年5月11日に旧国立競技場で開催されたゴールデングランプリで川元奨(日本大学)が出したタイムですが、このレースは私も直接見ていました。

今回のレースが凄かったのか日本タイ記録が出たというだけではなく、1分45秒台が3人でたということです。それは日本歴代ランキングを見たらよくわかると思います。

記録名前
11分45秒75川元 奨2014年
11分45秒75源 裕貴2021年
1分45秒83川元 奨2021年
31分45秒85金子 魅玖人2021年
41分46秒16横田 真人2009年
51分46秒18小野 友誠1994年
61分46秒22近野 義人1994年

ただ、東京オリンピックおよび2022世界陸上参加標準記録は1分45秒20ですから、今回のタイムを0秒55短縮せねばなりませんし、世界記録は1分40秒91と別次元です。今回のタイムと5秒近く違うので800mで40mほど引き離されることになりますから、世界との差はまだまだ大きい。

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女子1500m

女子1500mは東京オリンピックに出場する田中 希実(豊田織機TC)が自身がもつ日本記録4分05秒27を1秒以上更新する4分04秒08で日本記録更新。東京オリンピックおよび2022年世界陸上の参加標準記録は4分4秒20ですから今回のタイムで突破しました。

世界記録は2015年にゲンゼべ・ディババ(エチオピア)が出した3分50秒07です。

男子1500m

田中選手の日本記録から約10分後に男子1500mでも日本記録が樹立されました。自己ベストが3分38秒83の河村 一輝(トーエネック)が、自己ベストを3秒以上更新する3分35秒42と、今年5月に荒井七海(Honda)が出した3分37秒05の日本記録を大幅に更新しました。

東京オリンピックおよび2022世界陸上参加標準記録は3分35秒00で、あと0秒42届きませんでしたが、インタビューでは本人も悔しがっていました。

世界記録は1998年にヒシャム・エルゲルージ(モロッコ)が出した3分26秒00ですが、近年の記録では、今回のWAランキング1位の3分28秒28です。まだまだ世界との差は大きいですが、まずは男子100mのように参加標準記録突破者が続々とでてくるような状況になれば差は詰まってくるでしょう。

また、今回2位に入った佐藤圭汰(洛南高)の3分37秒18は日本歴代3位のタイムであるとともに、破られることはないと言われていた高校記録を破りました。

その高校記録は1999年に佐藤清治(佐久長聖高)が出した3分38秒49です。高校歴代記録を見ると、今回の佐藤圭汰選手と、それまでの高校記録であった佐藤清治選手に続くタイムは、3分44秒57であることを考えたら突出した記録です。現在の日本人学生記録は1976年に石井隆士(日本体育大学)が出した3分38秒4で、2位は2018年に舟津彰馬(中央大学)が出した3分38秒65です。20年間経てば、シューズもトレーニング方法も進化しているでしょうが、1999年に当時の高校生が出した記録をそれ以降、現在に至るまで、大学生が誰も破っていないことを考えると規格外の選手だったのでしょう。その選手の記録を抜いた佐藤圭汰(洛南高)が今後活躍できる土壌を作れるかどうかは、日本の陸上界にかかっていると思います。

従来日本で陸上と言えば、箱根駅伝の影響力の大きさもあり、才能ある選手は長距離に進みます。そしてオリンピックや世界陸上の400mリレーでメダルを取るなど100mなど短距離の人気も大きいです。その結果、短距離から中距離まで勝負できるような選手は短距離に引き寄せられるし、中距離から長距離まで勝負できる選手は長距離に引き寄せられます。結果として中距離を目指す選手は少なくなっているのかもしれません。

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自分自身、大会中止が続くなら、その中で楽しみを見つけていこうと中距離の練習を始めて大会に出るようになりましたが、1000mや1500mはとても面白いと感じています。そして自分が走ることでトップ選手が走るのを見るのが以前より楽しくなってきました。自分とはレベルが違うにしても、そのレベル感が分かっているかどうかは大きいと思います。例えば1500mの1周目をトップ選手は60秒切って通過しますが、その凄さとか実感できるのです。

中距離の競技人口が増えれば、それらの競技者に向けた大会は増える。そうなると、その大会へゲストランナーとして、またペースセッターとして中距離選手が関わることができる機会が増えるし、トップ選手の走りを見ようと観戦者も増えてくると思う。そうなれば、従来は短距離や長距離に引っ張られていた選手が中距離に専念するかもしれないし、10秒前半で走るような100m選手が800mなどにチャレンジするかもしれない。

そんなことを今回の大会をyoutubeで見ていて感じました。

男子と女子の差は1.1倍

以前記事に書きましたが、今回の1500mの日本記録の男女記録差は1.1倍です。(4分04秒08÷3分35秒42≒1.13)

男子800mの日本記録1分45秒75に1500mのタイム差1.13倍をかけると1分59秒50になります。現在の日本記録は2005年に杉浦美保選手が出した2分00秒45ですが、日本人女性初の1分台期待しています。

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