2017 IAU 24時間走世界選手権の日本代表になるために

2017 IAU 24時間走世界選手権日本代表選手選考要項に、来年の24時間走世界選手権の代表選考方法が掲載されています。

今年の神宮外苑24時間チャレンジには、24時間走で実績のある強いランナーの他、100キロマラソンのスピードランナーが数多くチャレンジすることから非常にレベルの高いレースになると思われます。

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最初に、私が初めて神宮外苑24時間チャレンジを走った2010年から2015年までの上位選手の記録を紹介します。
記録は日本ウルトラランナーズ協会のウエブページに掲載されている数値などを引用しています。(敬称略 所属は当時)

【2010年】

出走者:男子39人 女子8人 合計47人

■男子上位成績

1. 古北 隆久(多摩川陸上競技クラブ・東京) 231.977 km

2. 本田 正彦(M@HIRATSUKA・神奈川) 223.769 km

3. 日浦 泰博(宇部市陸協・山口) 221.796 km

■女子上位成績

1. 伊藤 夕子(武蔵UMC・東京) 213.932 km

2. 江崎 由佳(九電工・福岡) 200.226 km

3. 長瀬 陽子(築上町陸協・福岡) 184.870 km

【2011年】

出走者:男子62人 女子12人 合計74人

■男子上位成績

1. 本田正彦 253.613 km

2. 古北隆久 252.177 km

3. 大島康寿 245.933 km

4. 安孫子亮 238.338 km

5. 境祐司  236.497 km

6. 日浦泰博 232.576 km

■女子上位成績

1. 白川清子 232.418 km

2. 伊藤夕子 223.659 km

3. 桑原章恵 215.862 km

4. 鈴木琴美 207.299 km

5. 松沼佳子 189.063 km

【2012年】

出走者:男子67人 女子15人 合計82人

■男子上位成績

1.本田正彦(M.HIRATSUKA) 257.634 km

2.小谷修平(東京陸協) 256.861 km

3.楢木十士郎(福岡陸協) 252.387 km

4.古北隆久(横須賀市陸協) 248.235 km

5.日浦泰博(JUA) 245.710 km

■女子上位成績

1.坂根充紀栄(舞鶴クラブ) 243.381 km

2.岡さゆり(Team ZERO) 222.982 km

3.吉村真澄(菊里クラブ) 209.186 km

4.小川久美子(東京陸協) 202.114 km

5.伊藤夕子(武蔵UMC) 193.335 km

【2013年】

出走者:男子90人 女子15人 合計105人

■男子上位成績

1.重見高好(飯伊陸協/売木村・長野) 269.225 km

2.木曽哲男(club MY STAR・東京) 259.708 km

3.藤田裕也(下関市役所・山口) 252.324 km

4.吉田隆太(岡山県庁・岡山) 247.318 km

5.竹田賢治(栃木陸協) 246.548 km

6.大河原斉揚(気象庁・東京) 245.929 km

7.赤羽海衆(club MY STAR・東京) 243.781 km

■女子上位成績

1.坂根充紀栄(舞鶴クラブ) 230.890 km

2.鈴木琴美(千葉陸協) 217.527 km

3.藤原定子(武蔵UMC・東京) 207.017 km

4.青谷瑞紀(葛西ランナーズ・東京) 197.797 km

5.岡さゆり(Team ZERO・東京) 194.925 km

【2014年】

出走者:男子111人 女子8人 合計119人

■男子上位成績

1.楢木 十士郎(福岡・糟屋郡陸協) 258.687 km

2.大島 康寿(栃木陸協) 252.230 km

3.赤羽 海衆(埼玉・club MY STAR) 241.420 km

4.新井 雄一(東京・JUA) 235.675 km

5.竹歳 真路(山形・山形市陸協) 235.311 km

6.武田 国拓(鹿児島・大島陸協) 231.379 km

■女子上位成績

1.青谷 瑞紀(東京陸協) 223.989 km

2.藤原 定子(東京・武蔵UMC) 215.248 km

3.坂本 智子(山梨陸協) 190.518 km

【2015年】

出走者:男子114人 女子22人 合計136人

■男子上位成績

1.重見 高好 252.030 km

2.楢木 十士郎 241.864 km

3.小谷 修平 234.581 km

4.岡本 直樹 233.799 km

5.林 伸樹 233.009 km

6.新井 雄一 232.510 km

■女子上位成績

1.和地 朋子 203.044 km

2.岡 さゆり 200.884 km

3.鈴木 琴美 198.320 km

4.田中 さゆり 189.085 km

5.小川 久美子 186.075 km

6.藤原 定子 183.701 km

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前回までは男女4名づつが日本代表として選出されていましたが、海外公認大会や、前年以前の記録も選考対象になっていたことから、日本で唯一の公認大会である神宮外苑24時間チャレンジで4位以内に入っても日本代表になれるわけではありませんでした。概ね男子は250キロ以上、女子は200キロ以上が選出の目安になっていました。

少し話は逸れますが、ウルトラマラソンに興味のある方であれば、フルマラソンの記録と100キロマラソンの記録には一定の法則があることはご存知だと思います。

100キロが速い人はフルマラソンも速いです。

ただ

フルマラソンが速い人が100キロも速いとは限りません。

例えば、100キロマラソンで8時間を切るには、少なくともフルマラソンを2時間50分で走る力は必要ですが、フルマラソンを2時間50分で走れるからといって100キロマラソンで8時間を切れるとは言えないということです。

24時間走と100キロマラソンも同様です。

日本代表になるには250キロ超を目指す必要があると書きましたが、24時間で250キロ走るための平均ペースは5’45/kmです。このペースで100キロ走ると9時間35分。それを2.5回繰り返すと250キロになるわけですから、どれだけ凄いことか分かると思います。したがって250キロ走るランナーは、少なくとも100キロマラソンを7時間台で走るスピードを持っています。

しかし100キロ7時間台どころか6時間台で走るランナーでも24時間走の適性があるとは言えず予想外の結果に終わることも多々あるのです。

さて、24時間走において国内標準記録というのがあります。

男子   

Y  260キロ

X  250キロ

S  240キロ

A  230キロ

B  220キロ

C  210キロ

D  200キロ

女子   

Y  240キロ

X  230キロ

S  220キロ   

A  210キロ

B  200キロ  

C  190キロ

D  180キロ  

男子の250キロ超えはX標準と表現されます。少し前まではB標準でも日本代表に選出されることがありましたが、今では最低でもS標準は必要です。まず代表選出有資格選手は以下のように規定されています。

<代表選出有資格選手>
2016年1月1日以降2016年12月27日(期間は2016年に限定されているので注意する)までにおけるIAU公認記録を保有している選手のうち、国内標準記録S(男子)、B(女子)以上の選手を代表選出有資格選手(以下、有資格選手)とする。IAU公認記録は上記期間内の国内外のIAU公認大会において記録されたものとし、24時間を超える時間走大会における24時間スプリットも含むが、距離走における24時間での通過距離は含まない。

男子は240キロ以上、女子は200キロ以上です。

今年神宮外苑24時間チャレンジに挑戦する方は、選考要項を熟読していると思いますが、昨年までといくつか選出方法が変わっています。

1 まず、昨年までは日本代表は男女各4名が基本でしたが、今年は男女各4名をベースとしつつも6名まで選出される可能性があります。逆に成績が伸びなければ3名の可能性もあります。

2 前回選考時までは当該年以前の成績も勘案されていましたが、今年は第一次選考として当該選考年(2016)の選考指定競技会における成績を最重視するとあります。

また第一次選考に関しては以下の通りです。

男子: 指定競技会(神宮外苑24時間チャレンジ)における国内標準X以上の上位4選手を内々定とする。
女子: 指定競技会(神宮外苑24時間チャレンジ)における国内標準A以上の上位4選手を内々定とする。

したがって、今年の神宮外苑24時間チャレンジで男子は250キロ以上走って4位以内。女子は210キロ以上走って4位以内に入れば内々定となります。すごくシンプルで良いと思います。

2010年以降の大会で何人のランナーが男子X基準、女子A標準を突破しているかをまとめてみました。

2010年 男子 0名 女子 1名
2011年 男子 2名 女子 3名
2012年 男子 3名 女子 2名
2013年 男子 3名 女子 2名
2014年 男子 2名 女子 2名
2015年 男子 1名 女子 0名

気象条件によっても記録は変わりますが、平均すると男子は2名ほど 女子は1.5名です。

3 第二次選考の対象となる成績も当該選考年(2016)以降のものとし、記録条件もより高く設定する。(したがって2015年までの記録は選考の対象になりません。)第二次選考に関しては、第一次内定者に加えて一定の条件を満たす選手を追加または補充して選出する。と記載されています。

国内外のIAU公認大会と記載がありますが、国内の公認大会は神宮外苑24時間チャレンジのみで、ゆめのしまや平塚などは公認大会ではありません。アジア開催の公認大会は、11月19〜20日、台湾高雄で開催される、アジア・オセアニア24時間走や、12月の台湾の東呉24時間走などがあります。

しかし、第二次選考における選出人数は、男子は国内標準記録Y以上であれば、第一次内定者を含めて合計6名まで、同Xは合計4名(第一次内定で4名に達している場合は追加しない)までとし、女子は同Sが合計6名まで、同Aは4名(第一次内定で4名に達している場合は追加しない)までとする。と記載されています。

また、第一次および第二次内定者を併せても男女各3名以下の場合、男子は国内標準記録S、女子は同Bの有資格選手の選考が検討されるが、男女各合計4名を上限とする(必ず4名選出することは意味しない)。

箇条書きだと伝えにくいので事例にしてみます。(女子の場合も同様に考えてください。)

事例1)

神宮外苑 1位255キロ 2位254キロ 3位253キロ 4位252キロ 5位249キロ 6位248キロ

海外公認 記録上位から 262キロ 261キロ 259キロ 258キロ 257キロ 256キロ

上記の場合は、神宮外苑の 1位255キロ 2位254キロ 3位253キロ 4位252キロと、海外公認の262キロ 261キロの6選手が選出される。記録だけで見ると海外公認の上位6選手の記録は神宮外苑の優勝者を上回るが追加されるのはY標準(260キロ)の2名だけ。

事例2)

神宮外苑 1位255キロ 2位254キロ 3位253キロ 4位252キロ 5位249キロ 6位248キロ

海外公認 記録上位から 262キロ 261キロ 260キロ 258キロ 257キロ 256キロ

上記の場合は、神宮外苑の 1位255キロ 2位254キロ 3位253キロ 4位252キロと、海外公認の262キロ 261キロの6選手が選出される。海外公認の3番目の選手もY標準を超えているが合計6人には入れない。

事例3)

神宮外苑 1位255キロ 2位254キロ 3位249キロ 4位248キロ 5位247キロ 6位246キロ

海外公認 記録上位から 263キロ 262キロ 261キロ 260キロ 257キロ 256キロ

上記の場合は、神宮外苑の 1位255キロ 2位254キロと、海外公認でY標準をクリアした、263キロ 262キロ 261キロ 260キロの6選手が選出される。

事例4)

神宮外苑 1位249キロ 2位248キロ 3位247キロ 4位246キロ 5位245キロ 6位243キロ

海外公認 記録上位から 263キロ 262.5キロ 262キロ 261.5キロ 261キロ 260キロ

上記の場合は、神宮外苑からは選出されず、海外公認でY標準を出した263キロ 262.5キロ 262キロ 261.5キロ 261キロ 260キロの6選手が選出される。

事例5)

神宮外苑 1位255キロ 2位254キロ 3位253キロ 4位252キロ 5位249キロ 6位248キロ

海外公認 記録上位から 259キロ 258キロ 257キロ 256キロ 255キロ 254キロ

上記の場合は、神宮外苑 1位255キロ 2位254キロ 3位253キロ 4位252キロの4選手が第1次選考で決まり、第2次選考はない。(海外公認の選手は選考されない。)

事例6)

神宮外苑 1位255キロ 2位254キロ 3位249キロ 4位248キロ 5位247キロ 6位246キロ

海外公認 記録上位から 259キロ 258キロ 257キロ 256キロ 255キロ 254キロ

上記の場合は、神宮外苑 1位255キロ 2位254キロの2選手が第1次選考で決まり、第2次選考は、海外公認でX標準をクリアした259キロ 258キロの計4選手が選考となる。

事例7)

神宮外苑 1位255キロ 2位254キロ 3位249キロ 4位246キロ 5位245キロ 6位244キロ

海外公認 記録上位から 248キロ 246キロ 245キロ 244キロ 243キロ 242キロ

上記の場合は、神宮外苑 1位255キロ 2位254キロが第1次選考で決まり、第2次選考で神宮外苑 3位249キロ 海外公認 248キロ の計4選手が選考となる。

事例8)

神宮外苑 1位249キロ 2位248キロ 3位247キロ 4位246キロ 5位245キロ 6位244キロ

海外公認 記録上位から 249キロ 248キロ 247キロ 246キロ 245キロ 244キロ

上記の場合は、第一次および第二次内定基準を満たす選手がいないので、S標準(240キロ)クリアの上位4人にあたる、神宮外苑 1位249キロ 2位248キロ 海外公認 249キロ 248キロ の4選手が選考となる。

事例9)

神宮外苑 1位267キロ 2位266キロ 3位265キロ 4位264キロ 5位263キロ 6位262キロ

海外公認 記録上位から 261キロ 260キロ 259キロ 258キロ 257キロ 256キロ

上記の場合は、第一次選考で神宮外苑の上位4人が選出され、第二次選考で神宮外苑の5位、6位の計6選手が選考となる。

事例10)

神宮外苑 1位241キロ 2位240キロ 3位239キロ 4位238キロ 5位237キロ 6位236キロ

海外公認 記録上位から 235キロ 234キロ 233キロ 232キロ 231キロ 230キロ

上記の場合は、神宮外苑の上位2人はS標準をクリアしているので選考となるが、3人目の選考はどうなるかは明記されていません。3人目がないのかもしれませんが、団体戦があるので過去の実績から選出するかS標準には達していないが神宮の3位の選手が選考されるのでしょうか?

ということで、24時間走の日本代表になるためには、神宮外苑24時間チャレンジに出るランナーであれば、男子は250キロを以上で4位以内に入るか、最低でも240キロ以上で4位に入らねば辞退者がいない限り選出されません。同様に女子の場合は210キロ以上で4位以内に入るか、最低でも200キロ以上で4位に入る必要があります。

神宮外苑24時間チャレンジに出場しない選手は、海外の公認レースで男子なら260キロ、女子なら220キロを目指す必要があります(最低でも男子240キロ、女子なら200キロ)、また、男子選手が260キロ以上(Y標準)走ったとしても神宮外苑の記録に左右されるので確定になりません。

この解釈で間違い無いと思いますが、もし間違いに気づいた方はお知らせください。

しかし、参加者数を見ると24時間走の人気が分かります。

2010年から2015年までの推移を書くと以下の通りです。

47人 → 74人 → 82人 → 105人 → 119人 → 136人

ここ数年は定員によりエントリーが当日締め切られています。

しかし女子に関しては今年は増えましたが、男子に比べて参加者数は横ばいです。

8人 → 12人 → 15人 → 15人 → 8人 → 22人

参加数が少ないということは、実力のあるランナーであれば、日本代表として日の丸つけて世界大会を走れる可能性が高いということです。

神宮外苑24時間チャレンジや、台湾のレースにもアスリチューン・サポートランナーが多数出場します。極限のレースになればなるほど飲みやすさはランナーの強い味方になります。

極限のレースで世界を目指す多くのトップランナーがアスリチューンを選ぶには理由があります。

フルマラソンの距離が過酷であると感じる市民ランナーであっても同様です。苦しい時に、喉を通りにくいエナジージェルと通りやすいエナジージェルのどちらが良いですか?

また、多くのウルトラプロジェクトメンバーも神宮外苑24時間チャレンジを走ります。

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