2022スパルタスロン結果と歴代ランキング

ギリシャで開催されたスパルタスロン(距離246.8km)は日本人選手2人が表彰台に立ちました。今回は高速レースとなり優勝したZisimopoulos Fotis選手は昨年自身が出した歴代2位の記録を上回るタイムで走り、2位の曽宮選手は初出場ながら大会歴代3位の好記録を出しました。石川選手もバッドウオーターウルトラマラソンから短期間での連戦となりましたが、2018年優勝時とほぼ変わらないタイムで走り切りました。

また完走率は気象条件により大きく変動しますが今年は大会公式ページのデータから計算すると51.3%でした、その中で日本人選手に限ると38.2%と厳しい結果となりました。

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2022年大会 男子上位選手

順位記録名前平均ペース
121:00:59Zisimopoulos FotisGRE5’06/km
221:18:15曽宮 道JPN5’10/km
323:06:55石川 佳彦JPN5’37/km
423:23:53Erős TiborHUN5’41/km
524:30:30Brunner RadekCZE5’57/km
625:11:11Horcicka JiriCZA6’07/km

2022年大会 女子上位選手

順位記録名前平均ペース
125:03:41Dzaviza DianaLVA6’05/km
225:34:18Lizak MarisaUSA6’13/km
327:24:01Morgan MicahUSA6’39/km

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完走率

全体日本
出走者数①35334
完走者数②18113
DNF数17221
完走率(②÷①)51.3%38.2%

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今年の記録を加えた歴代10傑と24時間走記録

今回の記録を加えて歴代ランキングを作ってみました。Kouros, Yiannis選手など上位記録を独占していますが、各選手最速のタイムでのランキングとしました。

順位タイム名前開催年24時間走
120:25:00Kouros, YiannisGRE1984303.506km
221:00:59Zisimopoulos, FotiosGRE2022236.000km
321:18:15曽宮 道JPN2022213.600km
422:04:04Sorokin, AleksandrLTU2017319.614km
522:20:01Jurek, ScottUSA2008266.677km
622:29:29Cudin, IvanITA2014266.702km
722:49:37Brunner, RadekCZE2017255.731km
822:54:40石川 佳彦JPN2018279.427km
922:58:40Sideridis, NikolaosGRE2017220.000km
1023:02:23 Radzikowski, AndrzejPOL2016265.419km

改めて、上位には錚々たるウルトラマラソンランナーが名を連ねています。1位のKouros, Yiannis選手は説明するまでもない伝説のランナーです。

4位のSorokin, Aleksandr選手は24時間走でKouros, Yiannis選手の記録を破り、その世界記録を今年319.614kmまで伸ばした選手です。このタイムはスパルタスロンで優勝した2017年の記録ですが、この当時も世界的に強い選手ではありましたが、当時は24時間走で260kmを超えるレベルの選手でした。ここ2年ほどで急激に強くなった選手なので、来年以降スパルタスロンを走ることがあればとんでもない記録を出すかもしれません。100kmも6:05:41のトラックでの世界最高記録を持っています。

5位のJurek, Scott選手も、ウエスタンステーツ・エンデュランスラン7連覇、バッドウォーター・ウルトラマラソンの2度の優勝など有名な選手です。「BORN TO RUN」でも紹介されています。そのバッドウォーター・ウルトラマラソンで今年優勝したのが石川 佳彦選手です。石川選手は2019年大会では大会記録を出しているので、今年は2回目の優勝です。また2017年の24時間走世界選手権優勝者です。その石川選手はスパルタスロンの歴代8位です。

今回、私の調べ方なので不正確な部分はあると思いますが、24時間走の記録を調べてみました。一部例外はありますが、ほぼ260kmは超えています。今年の記録で歴代2位、3位となったZisimopoulos, Fotios選手、曽宮道選手の現時点の24時間走は236km、213kmですが、今回のレース(246.8km)を21時間少々で走りきっているのだから、ポテンシャル的には300kmを超える力はあるのでしょう。

世界のウルトラマラソンの流れ

今年のIAU24時間走ヨーロッパ選手権でSorokin, Aleksandr選手が319.614kmの世界記録を出しましたが、2位のAndrzej Piotrowski(POL)も301.859 kmと300kmを超えました。

コロナ禍前は270kmを超えれば世界選手権で優勝争いをするレベルで、250kmを超えれば日本代表に選出されるレベルでしたが、現在ではそれぞれ20-30km上乗せされているように感じます。

ウルトラマラソンは一般的な市民ランナーにとってはゆっくり長く、場合によっては歩いて完走を目指す大会ですが、エリートレベルはとんでもないペースで走ります。

Sorokin, Aleksandr選手は24時間でフルマラソン7.57回分ですから平均ペースは4’30/kmです。前半12時間で170.8kmを走りましたが、この時のペースは4’13/kmで、後半12時間で148.814km走りましたが、この時のペースは4’50/kmです。

またSorokin, Aleksandr選手は100kmを6:05:41で走りますが、これは3’39/kmペースです。このような数字をみるとウルトラマラソンの見え方も変わってくると思います。

こちらは8月に開催された100km世界選手権の結果です。

今、誰が世界一のウルトラマラソンランナーなのか?と聞かれると答えるのは難しいです。その理由はウルトラマラソンと言っても距離は様々で50km、100km、24時間走、48時間走、6日間走、スパルタスロン、バッドウオーターなど様々なカテゴリー、距離のレースがあるからです。

例えるなら、誰が世界一の長距離ランナーかと聞かれたら、マラソンなら間違いなくキプチョゲ選手ですが、トラックであれば5000m、10000mの世界記録保持者のチェプテゲイ選手でしょう。

ウルトラマラソンの100kmはトップ選手だと6時間少々で終わりますが、24時間走はその4倍の時間走ります。距離や時間が長くなれば走力以外の部分が結果を左右します。

その意味ではSorokin, Aleksandr選手は、世界陸連の非公認記録ではあるけど100km世界最高記録を持ち、12時間走や24時間走の世界記録を持っているのだから、世界の強豪選手から最も注目されている選手であることは間違い無いでしょう。

来年12月上旬開催予定のIAU 24時間走世界選手権(台湾)にはSorokin, Aleksandr選手も参加するでしょうが、日本代表選手がどのように挑むのか今から楽しみです。

その代表選手を決める選考レースはまだ選考要項も日程も未発表ですが、『2023年3月~7月での選考大会実施を検討中(2022年秋までに追加情報を発表予定)』とJUAの公式ページに掲載されています。その選考会は熱く厳しい戦いになりそうです。

  

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