ウルトラマラソン終盤に胸が重苦しくなる〜セミナー参加者からの質問〜

1/6開催 第40回ウルトラセミナー〜100kmウルトラマラソンプランニング講座〜

先日開催したウルトラセミナー参加者からいただいた質問の中で、いくつか参考になりそうなことを紹介します。

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ウルトラ後半(70〜80㎞)になると、心臓なのか肺なのかわからないのですが胸が水を吸ったスポンジみたいに重苦しくなる時があります。そういう時にペースを少しあげようとすると全力疾走したみたいにハアハアします。
そういう時は諦めて歩くのですが、私のウルトラ後半は脚というより、この胸(呼吸?)の重苦さとの戦いです。
どんな練習を積めば、胸が苦しくならないで走れるようになるでしょうか…

胸に水が溜まる病気は聞いたことがありますが、病気なら医師への相談を勧めますが、ウルトラの終盤にペースを上げようとすると呼吸が乱れるのは普通のことだし、心肺能力を高めて余裕度を高めるための練習をいくつかアドバイスしようかと考えましたが、練習以外の対策が必要な部分もあるように感じたので質問しました。

それは酸素が吸い込めてないのですか?そうなる前の状態となりそうな時の状態、なった時の状態について、他にどのような変化がありますか?

落ち着いて呼吸をしようとしても深く酸素が入っていかないような感覚です。
それが来る瞬間を思い浮かべるとだいたい夕暮れ時、日が落ちてくる時の情景が目に浮かぶのでそういう時は気温が下がってきて身体が冷えている気がします。前回実際に重苦しく感じる場所に掌をあてたら汗冷えなのか濡れていて冷たくなっていたのでさすりながら走りました。

であれば、日中暖かい中走って、冷えて身体が固まったのでしょう。筋肉など固まれば呼吸しにくくなります。寒くなりそうなら途中で、ビニールに小分けしたホットクリームをお腹に塗ったり、暖かいドリンクを飲んだり、ウインドブレーカーを着てください。

マラソン中ではないですが冬場に激しい運動の後、胃痙攣みたいにお腹の筋肉が突っ張ったりする事があるので、きっとそれの呼吸版のようなものなんですね。胃痙攣みたいお腹が痛む時は暖かいドリンクを飲むと症状が改善する事が多かったので、なるほど!と思いました。ホットクリームとあわせて今度試してみます!

また、身体を温めるために必要なエネルギーが枯渇してることも考えられるので、そんな状況になりそうなら早めにアスリチューン・ポケットエナジーなどのエナジージェルや、アスリチューン・エナゲインなどお飲みください。

エネルギーが足りなくなった…と感じる前に補給ができるよう気をつけます。

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念のため、いつもお世話になっているドクターランナーの佐藤さんに質問したところこのようなアドバイスをいただきました。

①肺が水を吸ったように重苦しくなる
→私も、新澤さんが書かれたように呼吸筋疲労の自覚及び、エネルギー代謝がうまく行かなくなったことが原因だと思いました。医学的に、本当に肺に水がたまる’肺水腫’という状態は存在しますが、重症な心不全の時に起こる病態です。またトレイルランニングにおいては3000m以上の標高の高い山に登った際に高山病の症状の一環として起こる可能性がありますが、通常のウルトラマラソンの標高では起こることはありません。

②生命維持に必要な本当の呼吸筋はあまり疲労しませんが、腹筋や背筋を含む呼吸補助筋の疲労は起こりえます。冷えると筋肉の動きは悪くなります。
ウルトラマラソンにおいて、呼吸補助筋の腹筋などは疲労しますが、単独で起こることは考えにくく、通常は他の筋肉(脚など)も同時に疲労すると思います。冷えにより症状が助長された可能性はあります。

③冷えると消化管の動きは悪くなります。
お腹の張りや痛みは、冷えだけで起こる可能性がありますが、呼吸苦を説明する事は困難です。しかしお腹が原因で苦しくなっていても、胸が苦しいと身体が錯覚を起こして自覚する事はありえます。今回の症状にも関わっている可能性は否定できません。

④エネルギー不足は、最も考えられる「原因の一つ」です。低血糖になると心拍は上がります。心拍が上がると息苦しさを感じます。またエネルギー不足で低体温を助長させるので、ウルトラの後半では起こりえます。

⑤まとめると
エネルギー不足で心拍があがり、息苦しさを感じた。気温の低下とエネルギー不足から体温も低下し、疲労していた呼吸補助筋(腹筋や背筋など)の動きが悪くなり、息苦しさを感じた。

⑥対応は、新澤さんが書かれたような、身体を温める事とエネルギー補給で良いと思います。

100kmマラソンを10時間以内で走るランナーは開催時期にもよりますが、概ね日中のまだ日差しが強い時間にゴールしますが、制限時間ギリギリのランナーは日差しが強い・暑いと言われる大会でも陽が落ちると急激に冷えてくるので対策が必要です。

ドロップバックに置いても良いのですが、そもそも10時間以上かかるランナーであれば、畳めば拳程度のサイズになるウィンドブレーカーをスタート時は着て、日差しが上がってきたら脱ぎ、ウェストポーチなどに入れておき、風が強かったり、少し冷えてきたら素早く着るなど、体温調節に使うとトラブル回避に繋がります。

またレース終盤は胃の働きが悪くなるので、エイドステーションでホットドリンクやスープがあれば飲んで身体を温めてください。私はレース中盤にも消化をサポートする目的でCAE(Catalyst Athlete Enzyme)を4粒飲んでいます。

通常より早く寝て、早く起きるレースにおいては、食事の時間も変わるので、胃の働きが悪くなり、気持ち悪くなることがあるので、私は前日や当日スタート前の食事をする時にこちらのサプリメントを使い、消化をサポートしています。暴飲暴食しても大丈夫な方もいますが、いつもより少し多く食べると胃がもたれたり、生活リズムが狂うウルトラマラソンになると気持ち悪くなる方にはオススメです。

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今回アドバイスをいただいた内科医の佐藤恵理さんは新松戸のけやきトータルクリニックに勤務しています。私も今月診察を受けアドバイスをいただきましたが、体調不良に悩むウルプロメンバーもお世話になっております。

以下の記事も佐藤さんにアドバイスをいただきました。合わせてお読みください。

ランニング中に”気持ち悪くなる”原因と対策

『喉が乾く前に水を飲め』は危ない 〜運動関連低ナトリウム血症にご注意を〜

男性ランナーも貧血にご注意を(ドクターランナーからのアドバイスを追記)

佐藤さんはドクターランナーとして大会中のランナーの安全を守る活動もしていますが、小江戸大江戸200Kやみちのく津軽ジャーニーランなどで優勝するレベルのランナーでもあります。

今回開催したセミナーと同様のウルトラマラソンプランニングセミナーや、野辺山やサロマ湖など特定の大会に絞った攻略セミナーなど随時開催しますので、参加ご希望の方はメッセージください。



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