ボストンマラソン中止と日本の大規模マラソン

124th Boston Marathon to be Held Virtually

バーチャルレース開催そして全額返金

2020年4月20日から2020年9月14日に延期された第124回ボストンマラソンはCOVID-19の影響により中止になり、その補完としてバーチャルイベントを開催すると発表された。

・参加費の全額返金

・9月7日から14日に開催されるバーチャルレースの参加

バーチャルイベントの参加者は、6時間以内に26.2マイルの距離を完了し、BAAに記録を申請することで完走メダルなど送られる。また、このバーチャルイベントのタイムは、2021年大会の資格タイムにすることはできないとQ&Aに掲載されている。

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マサチューセッツ州の死亡者数は日本の7倍以上

さて、過去123年の歴史を誇るボストンマラソンでは過去8人の日本人が優勝している。1966年に君原健二が優勝した時は1位から4位までを日本人選手が独占し、瀬古利彦は1981年、1987年と2回優勝している。そして2018年には川内優輝が優勝するなど日本人に馴染みのあるレースである。

その歴史ある大会が中止になるほど、アメリカの状況は厳しい。現時点の死亡者数は10万人を超え、今なお毎日平均して約1000人が亡くなっている。

死者10万人 アメリカでのコロナ禍を他国と比較(BBC)

Googleで調べたところ、ボストンマラソンが開催されるマサチューセッツ州で6,304人が死亡している。同じタイミングで日本における死亡者数は882人なので7倍以上だ。

本日時点の数値にて一覧にしてみた。

グラフも作ったが、日本の数値がほとんど分からなくなる。

 

なんでこのような比較表を作ったかというと、123年の歴史あるボストンマラソンが中止になったのだから、日本の都市型マラソンなど開催できないのではないかと思う方が少なくないと思ったからだ。

逆に言うと、9月14日に延期されたボストンマラソンまで、あと3ヶ月半であったが、この状況でも開催を諦めていなかったのだ。

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日本における大規模マラソン大会開催

さて、緊急事態宣言が解除された日本では、6月19日にプロ野球が開幕する他イベントが徐々に再開する。陸上・ランニングに関しても政府のガイドラインに沿って小規模な大会から開催されるだろう。

スポーツ庁のスポーツ関係の新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドラインについてに掲載された日本スポーツ協会のスポーツイベント再開に向けた感染拡大予防ガイドラインの改訂についてが当面の指針として公表された。

またスポーツイベント開催・実施時の感染防止策チェックリストも公開されているが、この感染防止策について、各スポーツイベントの特性等を勘案して、上記以外に感染拡大防止のための必要な取組みを盛り込むよう記載してあるが、イベント規模などについては内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室長から各都道府県知事に当てた11ページの事務連絡が当面の指針になるようだ。

移行期間における都道府県の対応について

イベント可否判断(ランニングイベントの場合)

前提条件

人と人との距離を十分に確保できること(できれば2m)、適切な感染防止策(入退場時の制限や誘導、待合場所等における密集の回避、手指の消毒、マスクの着用、室内の換気、 出演者の発声等を伴う催物にあっては客席との十分な距離の確保、声援に係る感染防止策等)

人数要件

時期 上限人数
ステップ① 6月18日まで 200人以下
ステップ② 6月19日~7月9日 1,000人以下
ステップ③ 7月10日~31日 5,000人以下
移行期間後 8月1日(目安)  上限なし

 

また県をまたぐ移動についてはこのような指針がある。

5月25日〜  不要不急の県をまたぐ移動は避ける(これまでと同じ)

6月1日〜  一部首都圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)、北海道との間の不要不急の県をまたぐ移動は慎重に

→ 首都圏は一体と考え、首都圏から首都圏以外、首都圏以外から首都圏へと、県をまたぐ移動は避けるではなく、慎重にと変わる。

6月19日〜  制限なし

7月下旬からGoToキャンペーンによる支援が始まり移動を積極的に推し進めるとある。

8月からは人数の制限はなく、また観光業などを積極的に支援する政策が取られるので、順調に行けば大規模都市型マラソンの開催も可能になりそうだ。しかし、「できれば2mの間隔をとる」という言葉を、厳密に守ろうとするのであれば1万人を超えるような大会の開催は難しいように感じる。

上記基準は、屋外イベント全般に対しての考え方であり、イベントの内容により変わってくるだろうが、主催者や当該都道府県がどう考えるかによる。

この条件のもとで開催を模索するのであれば、マラソン大会であれば、密になりやすいのは、受付会場や、更衣室、そしてスタート前の整列と、ゴール後の記録証受取や、荷物受取などだから、スタートまでとフィニッシュ後にはマスク等の着用を義務化するのはどうだろう。

また、この機会に、グロスタイムを廃止しネットタイムのみとし、速いランナーから細かくウエーブスタート、もしくは準備ができたランナーから一定時間に順次スタートにする。またエイドステーションでは、給食は廃止しドリンクのみペットボトルで渡す。

また開会式・表彰式を無くし、受付は事前送付で、記録証は後日送付にしたらかなり密は減らせる。もちろんゼロリスクにはならないが、ゼロリスクはない。

上記は一例だが、開催経験豊富な運営者が知恵を絞ったら、様々なアイディアが浮かぶだろう。

そうは言ってもいきなり1万人を超える大会が開催するとは思えない。特に都市型大規模マラソンは自治体が大きく関わっているが、現在は市民生活の平穏を守ることに注力する時期であり、大会準備に使う時間はないだろう。

そこで、民間事業者が河川敷や競技場する小規模な大会・記録会から徐々に開催され、少しづつ大きな大会が開催される流れになるのではないだろうか。

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ここでは、スポーツエイドジャパンの主催イベント開催についての考え方が参考になると思う。一部抜粋します。

(1)社会的ルール(行政の要請、方針、指針、関係機関の方針、意向等)、コースとなっている地域の要望等を踏まえた上で、開催可否等の判断をしていく。
(2)開催する場合は、日本スポーツ協会がスポーツ庁の助言を得て作成した「スポーツイベント再開に向けた感染拡大予防ガイドライン」等を参考に、でき得る限りの感染防止対策を講じて運営にあたる。

社会的ルールを守り、感染防止対策ができても、コースとなる地域が開催しないで欲しいと言う意向があるなら中止・延期判断すると言う考えは非常に大事です。

主催者は開催したい。ランナーは走りたい。と思っても開催地の理解なくして開催する大会には少なくとも私は魅力を感じません。

最後に、マラソン大会開催に関わる多くの事業者は現在非常に厳しい状況です。大会運営に関してどのような事業者が関わっているか思いつくまま箇条書きにします。

  • 大会運営会社
  • タイム計測会社
  • レンタル会社
  • 警備会社
  • 参加賞など制作会社
  • エントリー代行会社
  • 大会バスなど旅客事業会社
  • 貨物事業会社(荷物移動)
  • 会場ブースでの販売会社
  • 広告代理店
  • サプリメント等アイテム製造会社
  • ホテル・旅館など

それぞれ売上高に占めるマラソン大会の比率は様々ですが、マラソン大会がないとほぼ売り上げが0になる事業者も少なくありません。

考えて欲しいのは、ランナーであれば、それらの業者に今までお世話になっていて、今後大会が開催できる時にはまたお世話になるのです。なくなってしまったら困るのです。

ランナーといっても、大会開催、そして自分が参加することについての考え方は様々です。例えばあと何ヶ月経ったら開催して良いのか?自分は参加するのか?を質問したら様々な回答があるでしょう。中にはすぐにでも参加したいと回答する方もいる一方で、ワクチンや治療薬ができるまでは大会には出たくないと回答する方もいるでしょう。

何が正しいなんてことはありません。ただ開催を決めた主催者は様々なことを考えた上での判断だと思って欲しいのです。



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