箱根駅伝5区ランナーだった五郎谷選手が富士登山競走を目指した理由  〜コモディイイダ会沢監督談〜 その1


箱根駅伝の山登り区間である五区は、幾多のドラマが生まれた区間であり、順天堂大学の今井選手、東洋大学の柏原選手、青山学院大学の神野選手など山の神と呼ばれるスター選手が生まれた区間でもあります。

今年の富士登山競走 山頂の部で歴代2位の好タイムで優勝した五郎谷選手は、2015年、2016年と東洋大学の選手としてこの五区を走り、2016年は1時間19分53秒と区間3位の走りをしました。

その箱根ランナーが富士登山競走を目指した理由など、コモディイイダ 会沢監督から教えていただきました。

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●入社動機と勧誘●


トレイルの世界で戦いたい!というのが、五郎谷の社会人での目標でした。もともとトレイルをやらせてくれる実業団がなかったこともあり、一般企業にすすみ、自身の時間でトレイルをすると決めていました。ある企業から内々定を頂いていましたが、東洋大学の酒井監督から当社に枠がまだあるかという話を東洋大学出身の西山コーチを通じて頂きました。

当社にとっては知名度的にも願ってもないチャンスであり、すぐに練習に招待し、会社や練習環境について説明しました。

当時は、完全フルタイム勤務の中での競技でしたので、厳しい環境はしっかり説明した上で、当社を選び、駅伝にでてくれるなら、トレイルレース参加も大丈夫とし、年間のレース計画も渡しました。入社から5月まではトラック中心、6月から富士登山競走にむけたトレーニング。富士登山、十和田八幡平駅伝5区、火祭りハーフマラソンをトレイルに見立てたレースとして夏場に組み、9月からは実業団駅伝にむけて仕上げていくというイメージです。そして、入社を決めてくれました。

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入社後知ったトレイルを目指す理由


まず、監督としてしっかり理解したかったことは『なぜ、トレイルを目指したいのか?』ということでした。そんなことから彼と話をしていくと、【山が得意=トレイル】という発想で、実際のトレイルがどんなものかを知らない状態でした。

私自身もトレイルについてはなんとなくのイメージしかありません。そこで、ネットで調べ、トレイルランナーが下りを駆け抜ける動画に私は『え、、、』と感じたのが正直な感想でした。それはまさに、大事故にいつ繋がってもおかしくない。チームで駅伝を目指す監督としては、駅伝前にこれを選手にさせる訳にはいかないと感じました。

そこで、五郎谷と話をし、動画を見させたところ、興味はあるものの、登りの能力を活かしたいということで一安心しました。同時に、彼の中のトレイルを目指す意味について、もしかして?と感じたことがあり、何度か話をし、わかったことがありました。

それは、世界で戦いたい!ということでした。その競技として、自分自身が得意な山登りを選んだということでした。

つまり、トレイルにこだわっていた訳ではなかったのです。(*今は、トレイルレースにも、スカイランニングにも興味を持っています。)

彼は全国高校駅伝1区でも29分39秒で走り、インターハイ5000でも決勝に残る力をもって、強豪 東洋大学に入りました。そこで、先輩にあたる設楽兄弟の走りを目の前にして『トラックでは勝てない』と痛いほど感じ、自分が日本代表として世界で戦えるのは、登りだ!と思い、それを生かした種目を走りたいというのが本音でした。その意味で、富士登山競走の山頂の部で優勝し、日本代表になることは最初の目標にはうってつけでした。

しかし、山頂の部で優勝するには、まずは五合目の部に出場し、山頂の部参加資格タイムをクリアしなければならないということを知り、第一目標を達成するのに入社から一年半かかりました。

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1年目の五合目出場にむけて


私自身、一般的な長距離種目の経験しかなく、練習で高尾山を走ったことがある程度。

しかし、選手が出場したいという以上、できる範囲で対策や情報を集め、チーム練習の合間をぬって、二回の試走にいきました。そこでシューズが大丈夫か、情報収集したペースで大丈夫かなどの確認をし、本番に挑みました。

80分は切れると試走で感じていましたが、まさかの34年ぶりの大会新記録で優勝しました。

それを期に、その一週間後の十和田八幡平全国駅伝の5区で強豪実業団選手をやぶり区間賞を獲得。8月末の火祭りロードレース(ハーフマラソン)では、川内優輝選手がもつ大会記録を更新して優勝しました。さらにそこで手にしたユナイテッドグアムマラソン(ハーフマラソン)でもコースレコード樹立して優勝と、気象条件、高低差のはげしいレースで着実に力をつけていきました。

 



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