マラソン中に気持ち悪くなった原因〜レース中食べれないからレース前にたくさん食べた〜

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今年9月にフルマラソンでサブ4.5を目指したいと、ウルプロに入会したAさんの話です。当時4時間50分台でした。

フォーム改善など順調に進んだことから、さいたま国際マラソンではサブ4狙って走りました。しかし、序盤から気持ち悪くなり失速し本人的には大変残念な結果になりましたが、それでも自己ベストを20分ほど更新しました。

応援ナビでラップを見ていて、余裕あるけど速すぎないペースで入っているのに、10kmからペースダウンしたので体調悪かったのかと心配に思いレース後にメッセージするとこのような状態だったようです。

両足が攣り、かなりの時間歩いただけでなく、ゴール後に嘔吐が止まらず、やっと帰宅しました。心身共にダメージ受けてしまった感じです。納得できない大会ナンバーワンで、こんなに悔しい思いも久しぶりだった。

状況を確認すると

・スタート前は体調良かった。

・10キロくらいから胃がむかつき、結局アスリチューンも14kmまでしか取れなかった。
→ほぼ毎レースで受け付けなくなる。

・なぜ嘔吐するのかわからずキツかった。

・スタートまではトイレに行きたくならないように朝から水分補給はほとんどなし。

・スタート前の気温は10度。

・喉は乾くので、ほぼすべてのエイドでポカリスエットをガブ飲みした。

・毎回吐くのは怖い。

・何か食べようと頑張ったが固形物は全く受け付けない。

まず、この状況・状態を聞いて感じたのは、スタート前に水分補給を我慢しすぎたがために脱水状態になり喉が渇いてしまい、そこから一気に取りすぎたこと。

水分補給の頻度と量を詳しく聞くと2.5kmごとにポカリスエットを2杯づつ。1箇所300ccとして、10kmで1200cc。10km1時間以内だから1時間に1200ccは明らかに飲み過ぎです。個人差はありますが、1時間に胃が水分を吸収できるのは、だいたい500-600ccです。

吸収できない水分は胃に蓄積していきます。

おそらくスポーツドリンクのとりすぎで胃の働きが止まった。胃が活動をやめれば、水分補給もエネルギー補給も、塩分補給もできません。そこに次から次へとスポドリが入ってきたら吐くしかありません。また、水分や塩分をとっていても吸収されないのだから、脱水にもなり足攣りに繋がったのでしょう。

3年ほど前にドクターランナーの佐藤さんに教えていただき書いたこちらの2つの記事は今でもたくさんの方に読まれていますが、この記事を読んでもらったところ、症状が非常に当てはまる。と話していました。

『喉が乾く前に水を飲め』は危ない 〜運動関連低ナトリウム血症にご注意を〜

ランニング中に気持ち悪くなる原因と対策

そこで、毎回そんなに水分を取るのかと聞きました。

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すると、このようなメッセージが届きました。

日常生活では水分をとるのが苦手で、頑張らないととれないんです。でもフルマラソン、ウルトラマラソンになると、尋常じゃなく喉が渇きます。

ウルトラでは炭酸ジュース買ってまで飲んでしまうんです。白川郷のときも、同じように途中から両足攣ってリタイアです。日常生活から水分を少しとるようにした方がいいですね。

私が感じたのは、喉が渇ききるまで飲まないから、飲んでも喉の渇きが癒されないということです。また実際はそこまで喉が乾いてないのに焦りなどストレスが原因かもしれないと感じました。

まず、日常生活から水分を飲めるようにして欲しいことと、喉が乾いてから一気に飲まずに少しづつ時間をかけて飲んだり、うがいだけするなどして水分の取りすぎを防ぐことを伝えました。

こんな風にレースで失敗したことを速やかに原因を考えていくと次に繋がります。

ただ悔しい。だけでは何も変わりません。

白川郷と同じことを繰り返してるのは、白川郷の時にそこに気づかなかったから、対処ができなかったのです。

その翌日Aさんはこのような振り返りを送ってくれました。

【スタートまで】

・6時起床

・6時半朝食(おにぎり2個、自家製甘酒1杯)

・7時45分会場到着

・8時40分(M社ジェル1/3。甘くて飲めず。

バナナ2/3本。水、含む程度)

・9時整列(Eブロック前から20列目辺りて、日向だったので暖かかった)。

・9時10分、赤のアスリチューン。

【スタート後】

・前方に4時間ペーサーと思われる風船が見えるものの、全く距離が縮まず、少し焦る。

・5分半ペースを維持すること、フォームを気をつけることを意識

・7キロ、アスリチューン・ポケットエナジー

・10キロ辺りで、胃のムカつきを感じはじめる。

・15キロ、アスリチューン・ポケットエナジー。この頃には足が重くなる。

・20キロ過ぎから、断続的に足が攣りはじめる。

・足が攣っては歩く。歩く時間が長くなると同時に、各エイドでポカリを2杯ずつ飲む。

実はどこの地点から飲み始めたかわかりません。10キロまでは飲んでないと思います。飲みたい!という気持ちが強かったのは覚えていて、胃のムカつきの後から飲み始めたかもしれません。

・25キロ辺りで4時半のペーサーに抜かれ、かなり心折れる。しかし、ほとんど走れず。

・いつも通り右足の甲に不快感が出現しはじめ、何度か座って紐を緩める。

・結局最終エイドまで、毎回2杯ずつポカリを飲む。コーラのエイドでは、さらにコーラも飲む。

・結局アスリチューンは2回のみ。なぜなら、アスリチューンを出す行為すら億劫になってしまい飲めず。

・食べ物も口には入れましたが、一口も飲み込めず、そのまま捨てた。

【ゴール後】

・急激に足や腕に力が入らなくなる。

・間もなく吐き気をもよおし、ゴール後数時間吐いていた。

【気づいたこと】

・低ナトリウム血症についての記事を読み、今までのレースのことで気付くことがありました。

・三浦みちくさ、白川郷、南伊豆ウルトラ、さいたま国際の全ての大会で、私がいつも困っていたのは、右足の甲が痛くなることでした。靴のせい、紐の結び方のせいだと思っていたので、ワラーチにすればよかったと毎回後悔していました。でも、これは浮腫のせいだと気付き、びっくりしました。

・やたら喉が渇くと思っていました。日頃は飲まない、炭酸ジュースが欲しくなり、みちくさでは購入してまで飲んでいました。さいたま国際でも買いたくなりました。これは喉の渇きだと思っていましたが、糖分を欲していただけでは?と思っています。

・南伊豆がうまくいったのは、エイドで食べられたからだと思っています。かなり飲んでもいましたが、最後まで食べることができたのと、エイド毎に塩があり、それを舐めていたのもうまくいった理由だったのかもしれません。南伊豆だけ、胃の具合いが悪くなりませんでした。

【今後】

・また吐いてしまうのでは、と少しマラソンが怖くなっています。

・1月はハーフがありますが、横田基地を楽しむ大会です。3月の古河はなももマラソンまでは入れていませんでしたが、2月に柏の30キロを入れようと考えています。水分のとり方の練習と、それなりの距離を走る練習目的です。

この振り返りを読むと、10kmくらいから胃のむかつきを感じ始めたが、水分をガブ飲みしたのはその後ということ。レース後の振り返りでは序盤から水分ガブ飲みと思っていたようだが、そうでないから、水分の過剰摂取が気持ち悪くなった原因ではないようです。

振り返りを読むとスタート前の8時40分にM社ジェルが甘くて飲めずとあるので、レース直後のメッセージではスタート前は調子良かったとあるけど、実はこの段階で既に気持ち悪さの前兆があったのではないかと思い、朝食について質問しました。

スタート時からガンガン水分補給をしたと思ってましたが、気持ち悪くなってから飲み始めたのですね。ふだん、朝はどのくらい食事を食べますか?

と言うのも、スタート前にM社ジェルが甘くて飲めない時点で胃の調子が悪かったように感じます。緊張感からきているのかもしれませんね。そして喉が乾いた時点で脱水状態になっていて、胃の働きがさらに悪くなり、そこに水分がたくさん入ってきたから更に気持ち悪くなったように感じます。

水分をとるとトイレに行きたくなると我慢したことから、スタート早々から喉が渇いていたが、4時間ペーサーが前にいて差が詰まらないと焦り水分補給へ意識が回らなくなった。のかもしれません。また汗はかきやすいですか?

普段の朝ごはんは、玄米ご飯、ヨーグルト、果物です。喉の渇きは感じていましたが、ペーサーに追いつきたいとの思いが強く、我慢していました。そのためか、飲み始めてからは2杯ずつ飲んでしまいました。

さいたま国際では顔に塩をふいていたので前半は汗をかいていたと思います。でもゴール後はウエアが乾いていたので、飲み始めたころには、すでに汗をかいていなかったと思います。

時間帯的に当たり前かもしれませんが、思い返すと、どの大会も前半は汗をかき、後半は汗が出ないし、足に冷えを感じていました。でも水分をガブガブ飲むことを繰り返していました。

朝ごはんのことで思い出しました。

【うまくいかなかった白川郷と今回の場合】

・朝ごはんを普段以上に食べた。特に白川郷は夜中に食べた。

【うまくいった南伊豆の場合】

・朝ごはんはおにぎり2個を現地で配られたが、1個にしておいた。

日頃の食事でおにぎり2個を食べることはないのですが、一度山を走ったときにハンガーノックになったことがあり、それから走るにはたくさん食べておかないといけないと思うようになっていました。

質問を繰り返すことで、このような記憶が蘇りました。朝食のおにぎり2個と甘酒やスタート前のバナナ2/3などは一般的には決して多くはないので食べすぎとは思いませんでしたが、Aさんにとっては食べすぎで、消化が間に合わない量だったのです。

Aさんにこのようにアドバイスしました。

それが失敗の主たる原因だと思います。消化吸収の速い人はいるけどAさんは違うのだからいつもより食べてはダメ。だからM社のジェルが気持ち悪かったのです。そして焦りから水分補給が遅れたことで拍車をかけたのでしょう。

ここで、ほぼ原因と次回への対策は明確になりましたが、さらにこのような質問をしました。

なぜたくさん食べたのですか?その時にたくさん食べるデメリットやリスクを考えなかったのですか?

たくさん食べた理由は思い込みでした。

食べないから走れない、と。

白川郷は第一エイドからすでに胃のムカつきがあり、全く食べられないのにガブガブ飲むことだけをして両足が攣り関門突破できなかったけど、その時とほぼ同じ状態でした。でも、それは走る前に原因があったとは思わず、走りながら食べられなかったからだと思っていました。だから走る前にたくさん食べておこうと思ったのです。

でも、よく考えたら、白川郷の第一エイドから食べられないということは、その前にすでに胃の具合いが悪かったと気付くべきでした。

2月に30Kを入れたので、朝食の量と補水の量を気をつけたらどうなるか試してみます。

何もかも失敗した感が強く情けなく思っていましたが、筋肉痛も抜けてきたので、また走り出します。

フルマラソンや100kmでどれだけ補給が必要かは個人差あるけど、Aさんはそんな食べなくてもフルマラソンなら走れると思います。大事なことは、良い体調でスタートラインにつくことです。朝食はいつもと同じくらいの量か、ウルトラマラソンなど普段寝ている時間に起きて朝食を取るならむしろ少なくして、スタートしてからジェルなどとってみてください。走力はついているのだから、今回はレース前の食事を失敗しただけと思ってください。

と伝えました。

またスタート前にM社のジェルを飲んで気持ちが悪く飲めなかったのに、レース中アスリチューンは飲めたと話していましたが、大会前にAさんとパーソナルレッスンをした時に補給は全て使い慣れたアスリチューンの予定だったのに、なぜM社のジェルを使ったのか聞いたところこのように答えました。

足攣り防止のために買いました。

白川郷で足が攣ったのと、練習会で毎回足が攣ると話していた方の話を聞き怖くなったからです。

はじめてのものを大会でやっていけないと、以前も注意されたことを忘れていました。M社のジェルも、あの日初めて口にしました。

大会前に初めてのモノを使ったり、初めてやったりすることが原因で様々なトラブルを引き起こすことがあるので、Aさんに注意していたのですが、大会前の焦りがあったのでしょう。

 

気持ち悪くなったとか吐いたという結果だけ聞いても、その原因が何だったのかは分かりません。分からなければ次回に向けて改善することもできませんが、今回のように質問して考えてもらうことで、可能性を絞っていき、そのおおもとに近づくことができました。すっかり忘れていたことも質問のキーワードをきっかけに思い出すのです。

また練習したことがほとんど出せなかった(でも20分PB更新)と落ち込んでいたAさんが自信やモチベーションを取り戻しました。

走りながら食べると気持ちが悪くなると、たくさん食べた。その行為がそもそも気持ち悪さを作ってしまう。ということはAさんだけではなく、多くの方が経験していると思い記事にしました。

本当にこれが正解なのかは分かりませんが、客観的にみてスタート前に気持ち悪くなってる状態で走り始めてよいわけありません。レース中に補給が出来ないというのも気持ち悪い状態でスタートしてるからであり、体調万全な状態ならなんなく補給できるのかもしれません。

完璧なレースなんて多分なくて、振り返るといろいろ気づきます。今回順調にフォーム改善が進み走力がついてるAさんが、ガッカリして走るモチベーションをなくすことなく、次のレースに気持ちが向いたことが一番だと思います。

入会時の目標タイムはサブ4.5でしたが、今回のような厳しいレースでもほぼ達成しているのだから、次回は今回の失敗を生かして気持ちよく走って欲しいです。

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リンクを貼った記事を書く際にアドバイスをいただいたドクターランナーの佐藤さんにこの記事を読んでいただくと、このようなアドバイスをいただきましたので紹介します。

全部納得できる内容です。まとめるとこんな感じですね。

*レース前にAさんなりに食べすぎていること

M社ジェルのような糖分の多いジェルは胃腸の動きをさらに悪くします。

*脱水状態で走り始めると脱水で胃腸の動きが悪くなります。動きが悪くなった胃腸に必要以上の水分を入れていること

*汗の量が減るこの時期、低ナトリウムは給水しすぎなければ起きにくいですが、給水しすぎると容易に起こります。

補給はしなければいけない、沢山食べないといけない、というのは一人一人の体質で違うので、この方はそれに気づけて良かったですね。

 

ウルプロに関して書いた記事はこちらです。合わせてお読みください。

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