画像提供:石川佳彦(以下の画像含む)
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2017年IAU24時間走世界選手権優勝、2018年スパルタスロン優勝、2019年バッドウォーターウルトラマラソン優勝(大会記録)そして2016年、2017年、2019年24時間走世界ランキング1位と、名実ともに世界最強のウルトラランナーの石川佳彦は2020年も海外での活躍が期待されていたが、新型コロナ感染拡大により全て白紙となった。国内レースも同様で活躍の場を求めエントリーするも中止が続いた。それでも石川はいつ大会開催が決まっても納得のレースができるように自分自身出来ることをするだけだと話していた。
こちらは2019年から2020年の海外レースについて書いた記事
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その石川がJAPAN TROPHY200で2位以下を40分引き離す17時間42分のタイムで連覇を果たしたが、そのレース展開などいくつか質問に答えてもらった。
【JAPAN TROPHYシリーズ開催への感謝】
2020年から約2年間続くコロナ禍において昨年1月のJAPAN TROPHY200に出場させていただくまで約11カ月もの間、レース出場が叶わない状況が続いていました。2016年から24時間走や200kmを超える長距離レースに参戦するようになってからコンスタントにレースに出場し、そのレースに向けてトレーニングを消化する事で結果に繋げられていた良い流れがありました。
しかし、コロナ禍で全ての流れが変わってしまいました。そのような状況の中でJAPAN TROPHYシリーズとして昨年1月から今回も含め1年間で4レース(200km、24時間走、12時間走、200km)も走らせていただく機会を与えてくれた大会関係者の皆さんには本当に感謝しています。
【レース序盤】
レース当日、多少風は吹いているものの暑くもなく寒くもないコンディション。しかし、寒波に見舞われている真冬の徳島に比べれば気温差は15度以上あり、暑さが影響しそうでした。
前回大会と同じく沖縄本島を半周する200km。コースレイアウトは所々変更された箇所があり、距離も少し増えて204.5km。
スタート直後は交通規制が敷かれていない市街地を走るコースで信号ストップを余儀なくされる区間です。出来るだけストレスを感じないよう覚悟していましたが、1km6分以上かかる事もあり、市街地を抜けるまでは我慢の展開が続きます。スタート前にちょうど良く感じた気温も10kmも走ると暑くなってきました。真冬の徳島にはない沖縄特有の蒸し暑さです。ただ、11月の12時間走では今回以上の蒸し暑さを経験しているためか、それほど不快に感じなかった事はレースを進める上でのアドバンテージとなりました。
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【レース中盤】
40kmからは車でのサポートが可能となり、サポートの川尻君から給水を受けます。この辺りになってくると信号も少なくなり、自然とペースが上がります。
ただ、無駄に力を使うだけのペースアップにはならないよう常にレースの主導権を握る事を意識し、数人いる集団の先頭でペースをコントロールし続けました。
集団は自分も含め、女性の仲田さんとフルマラソンや100kmのレースでご一緒した事のある岡山の小野さんの3人。
独走の時間があまりにも長過ぎると全体のタイムが上がらない事が多いです。
この時点では競り合いどうこうではなく、三人で力を貯めながら長丁場の戦いを凌いでいきたいという気持ちが強かったです。70km辺りからは小野さんとの一騎打ち。時間とともに気温も上がり、かぶり水もかぶりましたが基本的に予報は曇り。晴れては曇りを繰り返し、懸念していた暑さの影響は最小限で済みました。そのままぐんぐん気温が上がっていたらまた展開は変わっていたと思います。
【レース終盤】
120kmまでは小野さんとは先頭を入れ替わりながらレースを進める事ができ、早々と独走となった前回大会より力を使わず走れていました。120km以降、小野さんが離れ、一人になりましたが前半貯めていた分、後半踏ん張る事が出来ました。フィニッシュタイムは17時間42分と距離が伸びた分、時間はかかりましたが、200kmの通過タイムは前回よりも速く、序盤と終盤の信号ストップとレース展開を考えれば合格点を与えられる内容だと思います。
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【アスリチューン、アグレッシブデザインについて】
普段から無補給トレーニングを意識していて今回も補給は最低限で済みました。そうする事でレース中のトラブル、レース後の内臓疲労を防ぐ狙いがあります。200kmでアスリチューンを8個ほど、あとは黒糖やチョコを少し摘む程度です。疲労が溜まる終盤でもストレス無く飲めるのがアスリチューンの良いところです。日焼け止めのアグレッシブデザインも普段から使用していて今回のレース中も日焼けによる無駄な疲労を防ぐ事が出来ました。今後も使用していきます。
【サポートについて】
妻の妊娠が昨年7月に判明。11月の12時間走「JAPAN TROPHY QR」、今回の200km「JAPAN TROPHY Final」でサポートをするのが難しくなりました。そこで夏頃に川尻君にサポートを依頼し、妻と川尻君含めた3人で打ち合わせを重ね、本番を迎えました。11月の12時間走では同じ場所に留まってのサポートですが、今回の200kmは車で移動しながらのサポート。補給だけではなくコースのナビゲートも含めサポートは結果を左右する重要な存在です。自分の力だけでは走り切れないのがウルトラマラソンの過酷さであり、魅力でもあります。そういう意味でも川尻君はきめ細やかなサポートを遂行してくれました。レース本番はもちろん、そこに至るまで一人で走っているけれど独りで戦っているわけではないという気持ちを持ち続けられたのは妻と川尻君のおかげです。本当に感謝しています。
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204.5kmを17時間42分ということは、平均ペースは5分11秒6です。このペースでフルマラソンを走ると3時間39分。信号待ちや起伏のあるコースをこのタイムで1回走るのもそれなりの走力が必要になりますが、それを約5回繰り返さないと出せないタイムと考えるとどれだけ凄いタイムかイメージできるでしょう。
また、このペースのまま24時間走ると277.288kmとなりますが、石川の24時間走自己ベストは279.427kmなのでほぼ同じペースで走ったことになります。その279.427kmはフラットな400mトラックで出した記録であり、世界トップレベルの外国人選手との競り合いの中で伸ばした記録です。今回のゴール後の石川の表情など見ると、ゴールがまだ先でも走れそうと感じました。
今年海外レースに参戦予定の石川の活躍が楽しみです。