『実証実験(上限2万人)を認める』と言う記事〜東京マラソンとの関連性〜

大規模イベント「上限5000人」、10月末まで2か月間延長へ…分科会了承

読売新聞『大規模イベント「上限5000人」、10月末まで2か月間延長へ…分科会了承』と言うタイトルの記事を読んで、東京マラソン2021は中止になってしまうのか。と反応したランナーは少なくないと思いますが、私はこのタイトルや前半部分より、最後に少し書かれた段落に着目しました。

その部分を抜粋すると

〜新型コロナワクチン接種の進展に伴う行動制限の緩和を見据え、経過措置の対象地域では、感染対策に関する実証実験(上限2万人)を認める。〜

まず書いておきますが、私は東京マラソン2021にエントリー済です。もちろん走りたいけど主催者が開催できないと中止判断したなら仕方がないと思ってます。それも、どうすれば開催できるかと試行錯誤をした主催者であればなおさらです。

その上で、客観的事実をベースにしつつ、いくつかの事柄からの関連など感じたことを書いていこうと思います。

*画像は、隅田川にかかる橋がライトアップされた時に撮影したものです。

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現在のワクチン接種の状況

ワクチン接種状況(8月30日時点)Googleより

  • 1回接種  7,139万人(全人口の56.5%)
  • 2回接種  5,737万人(全人口の45.4%)

野村総研のレポートによると、現在の接種状況から以下のように推計している。

人口比72%(12歳以上人口では80%)に達する日は

  • 自治体等1日100万回+職域接種→10/15
  • 自治体等1日120万回+職域接種→10/8

1日あたり接種回数は首相官邸HPに掲載されていますが、野村総研のレポートの数値はさほど違和感を感じる数値ではありません。

デルタ株に置き換わった後も、ワクチン接種者の感染率、そして重症化率が下がっていることを行政が公開しています。

2度の接種終えた感染者で重症者・死者は“ゼロ”…新型コロナ新規感染者の『ワクチン接種率』公表 三重県

三重県が公表したデータを要約するとこちらになります。8月1日から16日の間に判明した新型コロナウイルスの新規感染者について、ワクチンの接種率を公表

感染が判明した1423人のうち、接種歴が不明の91人を除く1332人の内訳

  • ワクチン未摂取者 1179人(88.5%)(12人が重症で、3人が死亡)
  • ワクチン1度接種者 84人(6.3%)(1人が重症で、死者なし)
  • ワクチン2度接種者 69人(5.2%)(重症者・死者なし)

これだけ見ても、県の人口に占めるワクチン接種状況が分からないとなんとも言えないので調べてみました。

三重県人口に占めるワクチン接種状況(*このニュースが出た直後の数値です。)

  • 未摂取 54.26%
  • 1回接種 8.74%
  • 2回接種 37.00%

そして三重県の人口を調べたら178万人なので、上記割合をかけて計算するとざっくりこんな人数になります。

  • 未摂取 96.58万人
  • 1回接種 15.56万人
  • 2回接種 65.86万人

冒頭に掲載した新規感染者と、上記人口を使い、ざっくりと人口10万人に占める割合を計算してみました。

  • 未摂取者  122人
  • 1回接種   54人
  • 2回接種   10人

重症者、死亡者に関してはデータ数が少ないので、コメントしませんが、こうやってみると、客観的事実として、1回摂取だと感染リスクは半分以下、2回接種すると10%以下になっているのが分かります。

その後公開された、厚労省のデータによると、17分の1まで感染するリスクが低下するとあります。

「ワクチン2回接種」で感染は未接種者の“約17分の1” 厚労省

私自身、7月くらいまではワクチンに懐疑的な考えはありましたが、7月末だったか8月初旬に接種券が届いた頃には、客観的に考えて、ワクチン接種をしないリスクと、ワクチン接種をするリスクを比べると、私の場合は健康を損なうリスクはさほど変わらないと感じましたが、ランニングクラブの指導者として、屋外ではあれメンバーと接する仕事をしているのだからすべきだろうと、すぐに予約をしました。接種できたのは8月末ですが、9月中旬には2回目が打ち終わります。

接種するかどうかは、それぞれ健康状態や、家族の状況、考え方など様々だし、ワクチン接種の副反応で命を落とすことだってあるかもしれないので、自分で決めることだと思っています。

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実証実験とは

イギリスでは、サッカー欧州選手権や、テニス全英オープン、F1英国グランプリなどで、イベントを開催することが、どれだけ感染拡大に影響しているのかを客観的数値でとらえるために行われています。また、スポーツイベントだけではなく、コンサートでも行われています。

英国の社会実験が示すコロナ収束への道

それと同じようなことを、ワクチン接種が進んでいく中で、日本でも実施していくというのが冒頭の記事です。

例えばスポーツイベント、音楽イベント、どちらも感染リスクを高く感じるイベントもあれば、低いと感じるイベントがありますが、現時点は客観的なデータがないので一律に制限をかけています。

例えば、屋内イベントに比べて、屋外イベントは感染リスクが低いと言われていますが、屋内イベントでも、大勢の観客がお酒を飲みながら肩組んで大声を出すようなイベントと、誰も声を出さないようなクラシックコンサートではリスクは違うように感じますし、屋外イベントでも同様でしょう。

それを客観的データを得ることで、感染リスクの低いカテゴリーのイベントから制限を緩めていこうという政策だと、私は理解しています。

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東京マラソンを開催する意味

冒頭のニュースには、東京マラソンという言葉もなければ、スポーツイベントという言葉もありませんが、東京マラソン2021の一般抽選の当選発表前のタイミングで、既に政府と実証実験として開催するのだろうと感じていました。

そう感じた理由は参加者、ボランティアなど全員にPCR検査を義務付けるという発表です。その検査も事前に検査キットを送って、大会前の受付会場で提出するということに私は大きな違和感を感じました。

なぜ自宅付近でPCR検査を行いその結果を持参するのではいけないのか?ワクチン接種者も関係なくPCR検査を行うのか?地方からの参加者が既に感染していたなら東京に移動する間にも感染拡大させるリスクがあるが、自宅付近で検査して陽性なら東京には行かない。

何でそんなことをするのか?と東京マラソンにガッカリしつつも、「全員が検体を受付で提出する理由」を考えたら、検査会社との関係もあるかもしれないけど、それより大会前に同じ検査基準でデータを集めたいと言う意思が働いたのだろうと思ったのです。

そして、陽性者は参加できないので、スタートラインに並び、コースを走ってゴールするランナーと、大会スタッフはコロナに感染していないことになります。

もちろん検体接種後の移動中などに感染する可能性もゼロではありませんが、PCR検査をすることで、感染者が参加して、感染拡大するリスクを減らすことができます。

その時は、厚労大臣が実証実験という言葉を出していない頃でしたが、東京マラソン全員PCR検査のニュースを見て、私と同じように考えた方は少なくないと思います。

東京マラソン主催者(日本陸連?)は、東京マラソンが先陣を切らねば、日本の都市型マラソンはずっと開催できないままの状況が続くということを憂い、何とか開催できる方法はないのかと試行錯誤したのでしょう。そして、単なるマラソン大会というランナーのためのイベントではなく、多くの国民にとって社会的意義を持った大会にしなければならないと判断したのだと私は考えました。

そのタイミングで二次募集の案内メールが届いたので、マラソン大会が開催できる方向に働くなら協力したいと、昨年解約したプレミア会員に再登録しました。まさか全員当選でも足りず、さらにプレミア会員以外の都民エントリー者を対象に三次抽選をするとは思いませんでした。

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東京マラソンは実証実験に最適

さて、実証実験をするなら、正解なデータがとれないと意味がありません。

その意味でも、東京マラソンで実証実験をする意味は大きいのです。

マラソン大会を走ったことがある方なら、エントリー時にどのような項目を入力したかを考えてみてください。

氏名、住所、電話番号など以外に、緊急連絡先、年齢、血液型、目標タイム、自己記録なども入力しますね。

これだけのデータが揃えば実証実験として様々な分析ができます。

また、大会前にPCR検査をすることで、無症状だけど感染している人が、どの地域に多いのかのデータもとれるので、その時点の市中感染が把握できます。仮に○○市周辺のランナーに陽性者が多いと分かれば、当該自治体に注意喚起の連絡ができます。

さらに、どのような属性のランナーが感染しているのかも分かります。年齢や性別だけではなく、もしかしたら血液型や、持ちタイムによっても感染率に無視できないほどの差が出るかもしれません。

大会後に感染者が判明した場合にも、東京マラソンの場合は感染リスクのあるランナーを絞り込めます。なぜなら、スタート時の整列ブロックは主催者が指定していて、他のブロックには入れません。またスタートから5kmごとにタイム計測を行うので、レース中にその感染したランナーと同じ集団で走っていたランナーや、同じ時間帯にフィニッシュしたランナーをかなり絞り込むことができます。これなど全参加者の5kmごとの通過タイムのエクセルファイルさえいただき、感染したランナーのゼッケン番号が分かれば、私でも算出できるような作業です。

また、東京マラソンは、ゼッケン事前送付ではなく、ランナー受付で身分証明書など照合され、さらにスタートブロックに入る時も確認されるので、第三者が立ち入ることは困難です。これらはテロ対策も兼ねているので厳重です。

そして、フルマラソンを走ろうという参加者は、世間一般の方から見れば、健康状態の良い方、体力のある方、そして健康への意識が高い方だと思います。さらに今回のように参加費が高くなると従来より経済的に余裕のある年代となることから、ワクチン接種率はそこそこ高いのではないかと思います。全体の平均から見ると重症化リスクの低い参加者で開催されるイベントであるので、実証実験としても行いやすいのでしょう。

私がマラソン大会で感染リスクがあるとすれば、最も気になるのは更衣室ですが、今回の東京マラソンは更衣室もなく荷物預けもありません。そこにランナーの不満は大きいようですが仕方がないと思っています。

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マラソン大会中止連鎖が続いて欲しいですか?

マラソン大会に参加して感染したという話は聞いたことありませんが、マラソン大会で感染が拡大していないかどうかは科学的に実証されていません。

明確なデータがないから、自治体主催の大会は、地域住民から反対などあった際に、データで示せず、感染拡大リスクがゼロではないからと中止判断するのでしょう。

大会後に感染者が出たとして、その感染者が東京マラソンのスタートからフィニッシュ後までに感染したのか、自宅から大会会場の往復で感染したのかは分かりませんが、自宅との往復含めてマラソン大会開催による感染リスクと大きく考えたら良いと思ってます。

その数値によって、許容できる範囲なのかどうかは、各大会を開催する自治体の判断基準になります。

東京マラソンの募集定員は20,000人を超えているのではないか?と思う方もいるでしょうが、二次抽選、三次抽選当選者でも未入金者は結構な人数になると思われるので、20,000人以下になっているのではないかと感じました。もしくは棄権する方、事前検査で陽性だった方を除くと20,000人以下になるのかもしれません。そして25,000人いたのであれば、冒頭の実証実験の上限を25,000人にしたのではないかと私は感じています。そのくらい東京マラソン開催については、東京都だけではなく政府も関与するイベントなのでしょう。この部分は私は主催者ではないので正確なところは分かりません。

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実際に、東京マラソンが開催されるのかどうかは分かりません。東京オリンピックのように緊急事態宣言が続く中では流石にやらないと思うけど、実証実験という位置付けであれば開催するのかもしれません。ただし首都圏の病床がどんどん埋まっていくような拡大基調であれば実証実験どころではないと思います。

開催日まで、あと1ヶ月半になりましたが、我々ランナーにとって大事なことは、参加するかどうかは、一人一人、家族や仕事の関係など状況は様々なので、リスクが高いと感じれば参加しない。リスクが許容範囲であれば参加する。そして、懸命に準備をしている主催者がいるのだから、東京マラソンできないですよね。なんて周りに同調圧力をかけないことです。

そして、東京マラソンにはエントリーしていないが、他のマラソンにエントリーしている人にとっても他人事ではないということです。PCR検査までして開催しようとしている東京マラソンが中止になれば、他の大会も開催するハードルは今まで以上に高くなります。

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参加ランナーにお願いしたいこと

そして、参加ランナーにお願いしたいのは、仮に実証実験として開催されることになったとしたら、参加するランナーは、大会後にも引き続きリスクの高い行動は控えて欲しいのです。その行動により、今後のマラソン大会が開催されるかどうか決まるくらいの気持ちを持って欲しいのです。

もう一点。医療従事者や入院して苦しんでいる方が大変な思いをしているのに、自分は楽しんで良いのか?と感じ、参加することを躊躇っている方も少なからずいると思いますが、自分が走ることで社会的な使命に貢献できると思うなら、堂々と走ったら良いと思います。

2020年3月開催予定だった東京マラソンが実質中止にするという発表があったのは、2020年2月の青梅マラソンや京都マラソンが開催された翌日です。それ以降の状況は説明するまでもないでしょう。その状況を変えていくのは東京マラソンしかないのです。マラソン大会は感染拡大にどの程度影響するか、しないのか、客観的データで捉えて、もし感染例があるのであれば、どのような場面が危ないのか、それはどうしたら良いのかを検証し改善していく。

現在でも、トラックレースは開催されています。私自身昨年から10数回は走っています。なぜトラックレースは開催できるかといえば自治体が所有している陸上競技場を貸してくれる(認めてくれる)からです。なぜ開催を認めてくれるかといえば、昨年日本陸連が実施したデータがあるからです。

このようなデータを、ロードレースでも蓄積していく必要があるのです。是非こちらの記事もお読みください。

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