『睡魔』に襲われなかったオーバーナイトラン③ に続く
<スポンサーリンク>
3話までは、睡魔に襲われなかった理由などを、私や走ったメンバーの主観で書きました。
今回はオーバーナイトランには参加してませんが、ウルプロメンバーで脳科学研究者の本田学さんからアドバイスをいただいたので紹介します。
まず、私が本田さんに質問したのはこちらです。
オーバーナイトランしていて、気付いたことですが、昨年は私を含めて眠くなるメンバーが多数いましたが、不思議なことに今回はメンバーの顔や言動、行動を見る限り睡魔に襲われたメンバーはほとんどいませんでした。
それは気温、湿度が高く、体温を下げねばならないと、氷を買って冷やしたりしてるから、眠くなる暇がないこともありますが、そもそも体(脳)にとっては生命の危機だから、どうすれば身体を損傷しないかとフル活動しているから、眠くならないのかな?と思いました。
逆にそもそも眠くなる?ってどうしてなんだろう?と思いました。
オーバーナイト区間のあるレースでは、睡魔は大きな障害ですから、この辺りの解決のヒントが今回のオーバーナイトランに隠されていると思い、科学的な見地から説明するとどんな感じなのか教えてください。
<スポンサーリンク>
以下は本田さんのアドバイスです。
眠気というのは睡眠欲
眠気というのは睡眠欲のことですが、脳内のある種のタンパク質が活性化し続けると、タンパク質にリン酸という物質がついて眠気が生じることが最近わかってきました。この知見は今年の6月にネイチャーという科学雑誌で報告されたばかりのものです。
眠気の正体は脳内たんぱく質 睡眠促し神経休める(日本経済新聞)
寝ると、タンパク質からリン酸が外れてリセットされます。薪が燃えて炭になったら燃えなくなりますが、寝ることによって、炭がもう一度薪に戻るというイメージです。
眠気は身体にとって正常な反応
眠気というのは生理反応なので、オーバーナイトランの敵ではありますが、生物の身体にとってはあくまでも正常な反応であり、眠くなるのは寝る必要があるからだと言えます。
そうした状況の中で、本来身体が求めているのと逆行する形で眠気を抑えるのですから、それには新澤さんが書かれていたように、さまざまな工夫が必要です。
副腎皮質ホルモン
ストレスは眠気を抑える
さまざまなストレスがある
全身に光を浴びるのも効果あり
<スポンサーリンク>
本田さんは専門的なことを噛み砕いて説明していただいたので、よく分かりました。
人間にとって睡眠は必要なモノだから、睡魔はあって当然なこと。しかし短期的に眠さを抑えるにはストレスを与えることが有効だということです。
前話までにメンバーが経験的に行っていたことの多くが科学的にも睡魔予防に有効な手段だったわけです。
夜寝る前に考え事をしてしまうと眠れなくなりますが、他のメンバーのことを気遣うメンバーがウルプロには多いので、◯さんはちょっと顔が赤いけど大丈夫だろうか?とか、△さんは汗の量が異常に多いけど塩分補給大丈夫だろうか?など思い遣りの気持ちも睡魔予防になったわけです。
睡魔には、そもそも眠くならないように、仮眠をとっておくなどの予防をした上で、眠気を誘う単調な行動にならないようにし、心身にさまざまな刺激を加えていく。フォームを意識して走るというのも刺激です。
たまたま眠くならなかった。で終わらせずに、自分でコントロール出来たら良いと思い、参加メンバーからのヒアリングと、研究者からのアドバイスを記事にまとめましたが、今後もこのような記事を増やしていきます。
また、睡魔対策について、良いことがあればこちらに追記していきます。
ウルトラプロジェクト練習会などについてはこちらをご参照ください。
参加ご希望の方はfacebookページのメッセージにてお問い合わせください