日本人が100mで9秒79出すような出来事〜400m障害で驚愕の世界記録〜

東京オリンピック2020は陸上競技を中心に見ていますが、世界のトップアスリートの凄さに度肝を抜かれる場面がいくつかありました。

卜部選手が走った女子1500m予選で最終周回に転倒したのに、そこからありえない追い上げをして組トップでゴールしたシファン・ハッサン(オランダ)はその夜の5000mで金メダルを獲得した。10000m含めて三冠を目指しているハッサンは、当然ながら予選・決勝などレースが続きます。そして東京は連日熱中症警報が出るほどの暑さです。

1500m予選を見てると集団後ろを走って力を温存して、ラスト1周をちょいと上げて準決勝に進める順位でOKという走りをしていました。疲労なく午前のレースを終えて夜の5000mで1個目の金メダルをとる計画が、まさかの前の選手らの転倒に巻き込まれて自らも転倒。

先頭集団がスパートに入っている中で、後方にいて転倒ですから普通ならそこで予選敗退はほぼ決まりですが、そこから巻き返したのは驚きです。そこから巻き返しての予選突破ですが、本人のプランは大幅に狂って、疲労をためてしまったでしょう。また結構なスピードで走っていての転倒ですから絶対痛いはずです。

その状態からリカバリーしてその夜の5000mで優勝したのだから、まさに超人です。

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その予選の追い上げには鳥肌が立つ思いでしたが、それ以上に驚いたのは男子400m障害です。

この種目は1992年にケビン・ヤングが出した46秒78が中々破れず、トラック種目最古の世界記録でした。

それを29年ぶりに破ったのが、今回優勝したカールステン・ワーホルム(ノルウェー)でタイムは46秒70と、世界記録を0秒08更新したのです。

そして、今回の優勝タイムはなんと45秒94!

陸上やっていない方だとピンと来ないかもしれないけど、世界記録はその時点の人類のほぼ限界のパフォーマンスです。そのレベルでしかも400mという短距離種目で0秒76も一気に更新することはとんでもないことです。

男子100mで日本人選手が10秒00を出してから、中々10秒の壁が破れませんでした。現在は9秒95ですが、0秒01、0秒02といった単位で短縮しているのです。

今回のタイムは従来の世界記録に対して98.37%で走ったわけですが、イメージするために他の種目に置き換えてみると、9秒95が日本記録の男子100mで、いきなり9秒79が出てしまったような出来事です。

今回男子100m準決勝で中国の蘇炳添(そ・へいてん)が9秒83出したのに驚いたけど、元々9秒91を持っている選手ですから短縮したのは0秒08。もちろんこの短縮も凄いのだけど、日本人が9秒79出した場合の短縮幅はこの2倍になるのです。

まず、あり得ないタイムと言えるでしょう。

そのくらいのタイムなのです。

為末大氏がツイッターで「ワーホルム選手の世界記録の凄さを形容するなら、2050年以降で出るはずの記録を今出してしまった感じです。」とつぶやいたけど、分かりやすい言葉です。

今回2位のレイ・ベンジャミン(アメリカ)の46秒17は、従来の世界記録を上回り、3位のアリソン・ドス・サントス(ブラジル)の46秒72は、今年の7月まで29年間破られなかった世界記録を上回る歴代3位です。

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日本の男子100mで長らく10秒が壁になっていたのに、壁がなくなれば続々と9秒台を出す選手が増えてくる。マラソンでも高岡選手の記録を破る選手がいなかったけど、現在ではそのタイムを破る選手は結構いる。もちろんシューズなどの影響もあるとは思うけど、それ以上に自分自身がその記録を出せると思い込むことはとても大事。マラソン選手で自分と同レベルと感じている選手が2時間6分台で走れば、俺だって出せる。って全体のレベルは上がります。これってスポーツ以外でもあることです。

女子400m障害でも世界記録が更新されましたが、男子が世界記録を出したのだから、このコースは絶対に記録が出る。周りも前半から飛ばすから自分も行かなければ金メダルは取れないと積極的にいった影響は少なからずあるでしょう。

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