東京オリンピック陸上参加標準記録とターゲットナンバーについて

東京オリンピックの陸上競技に関して、日本で開催なので全ての種目に日本人選手が参加できると誤解している人はランナーであっても少なくないように思います。

もう少し具体的に書くと、日本で1番になればオリンピックに出られるという誤解です。

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オリンピックの陸上競技には以下の種目があります。

100m、200m、400m、800m、1500m、5000m、10000m、110mH (女子は100mH)、400mH、3000mSC、4×100mR、4×400mR、走幅跳、棒高跳、高跳、三段跳、砲丸投、円盤投、ハンマー投、やり投、10種競技(女子は7種競技)、20kmW、50kmW(男子のみ)、マラソン

男子24種目、女子23種目、合わせて47種目です。

現時点で、日本人選手の参加が確定している種目は以下の18種目です。

男子

100m、200m、10000m、110mH、400mH、3000mSC、4×100mR、4×400mR、走幅跳、20kmW、50kmW、マラソン(12種目)

女子

5000m、10000m、4×100mR、やり投、20kmW、マラソン(6種目)

なんと、47種目中、18種目ですから現時点で38%の種目でしか日本人選手の出場が決まっていないのです。

オリンピックに出場するためには、参加標準記録を満たすか、WAランキングで各種目ごとの参加人数(ターゲットナンバー)内に入る必要があります。そして1つの国において1種目3人以内という規定があります。

参加標準記録突破者が一番多い種目はマラソンで、男子は2時間11分30秒で、女子は2時間29分30秒ですから相当人数います。しかし男女とも3人しか日本代表にはなれません。

長距離種目であれば、男子5000mの参加標準記録は13分13秒50で、大迫選手の13分08秒40より低いけど、期間内に誰も突破していません。また800mや1500mの中距離種目は、参加標準記録が日本記録を上回っています。

少なくとも日本記録を更新しないと参加標準記録を出すことができないのです。

参加標準記録日本記録世界記録
男子800m1分45秒201分45秒751分40秒91
男子1500m3分35秒003分37秒053分26秒00
女子800m1分59秒502分00秒451分53秒28
女子1500m4分04秒204分05秒273分50秒07
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では、東京オリンピックの陸上競技47種目中18種目でしか、日本人選手の活躍を見ることができないかと言えば、そんなことはありません。

それは、WAランキングで各種目ごとの参加人数(ターゲットナンバー)内に入れば出場できます。ただし1国3名以内というルールがあるので、ターゲットナンバー内入っていても出られない選手はいます。

そもそも、ターゲットナンバーという言葉自体聞きなれない言葉だと思いますが、その種目でオリンピックに出場できる人数のことです。

例えば、100m、200mは56人、400m、800mは48人、1500mは45人、5000mは42人、10000mは27人です。

時間がないので、ターゲットナンバー(表ではTN)内の選手を、男子の競走種目だけ抜き出してみました。

種目
(参加標準)
TNアスリートWA
ランク
資格
タイム
100m
(10.05)
56人山縣亮太9位9.95
サニブラウン・
アブデルハキーム
14位9.97
小池祐貴17位9.98
桐生祥秀(24位)
相当
10.01
多田修平(24位)
相当
10.01
200m
(20.24)
56人サニブラウン・
アブデルハキーム
14位20.08
小池祐貴31位20.24
飯塚翔太45位未達
400m
(44.90)
48人ウオルシュ・
ジュリアン
35位未達
5000m
(13:13.50)
45人松枝博輝39位未達
坂東悠汰41位未達
相澤晃46位未達
服部弾馬(47位)
相当
未達
遠藤日向(48位)
相当
未達
10000m
(27:28.00)
27人相澤晃18位27:18.75
伊藤達彦25位27:25.73
110mH
(13.32)
40人泉谷駿介5位13.06
金井大旺12位13.16
高山峻野16位13.25
400mH
(48.90)
40人黒川和樹16位48.68
安部孝駿21位48.80
山内大夢22位48.84
豊田将樹(23位)
相当
48.87
3000mSC
(8:22.00)
45人三浦龍司20位8:15.99
山口浩勢30位8:19.96
青木涼真36位8:20.70
マラソン
(2:11:30)
80人鈴木健吾10位2:04:56
大迫傑12位2:05:33
土方英和20位2:06:26
中村匠吾
服部勇馬
日本人の参加標準
記録突破は105人
20kmW
(1:21:00)
60人山西利和2位1:17:15
川野将虎3位1:17:24
池田向希4位1:17:25
高橋英輝(8位)
相当
1:18:00
50kmW
(3:50:00)
60人川野将虎1位3:36:45
丸尾知司2位3:37:39
鈴木雄介
(辞退)
5位3:39:07
勝木隼人(8位)
相当
3:42:34
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こうして一覧にしてみると、800m、1500mは参加標準記録未達者がいないだけではなく、WAランキングでも対象者なしで、世界的にみて厳しい種目であるこちがわかります。一方で日本の短距離は100mが注目されていますが、男子110mHの泉谷選手はWAランキング5位、また男子20km競歩と50km競歩はメダル独占の可能性まである順位であることが分かります。

現時点で内定が決まっていない種目に関しても、参加標準記録突破者や、WAランキングのターゲットナンバー入りしている選手の中から、日本代表内定者が発表されます。

世間が注目しているのは、男子100mの残り一枠で、小池選手が200mを辞退して100mを走ると報道されています。そうなると桐生選手の100m出場はなくなり、リレー種目で選出されるかどうかになります。

日本選手権で、男子100mも200mも2位に入ったデーデー・ブルーノは参加標準記録未達で、WAランキングのターゲットナンバー入りもしていないが、リレー種目のメンバーに選出されるかどうかが注目されます。勢いのある選手なので選出されて欲しいと思います。

また、男子マラソンでは参加標準記録が2時間11分30秒と現在の日本選手のレベルからすると低いタイムのため、105人が突破しました。これって凄いことだと思います。

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