ブラインドランナーからの学び〜唐澤剣也選手と星野和昭コーチの取組み〜後編

ブラインドランナーからの学び〜唐澤剣也選手と星野和昭コーチの取組み〜前編

前編から続く

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□腰の位置が低く、上下動が大きい

健常者は、自分のフォームの癖やぶれは、動画を撮影して見たり、自分の影を見たりして修正できます。しかし、私の場合は指摘してもらえないと気づくことができません。以前は、見えないから仕方がないと気づいても指摘してもらえないことがあったと思います。

(改善方法)

星野コーチは気付いた点をすべて指摘してくれます。そのため、私のフォームは他のブラインドランナーと比べると癖がなく、きれいなフォームをしているとよく言われます。もし星野コーチが指摘してくれなかったら、今でもスピードに乗り切れない効率の悪いフォームだったと思います。

□腕振りがうまくいかず肩がぶれる

私は、肩甲骨周りが固いため、肘がうまく引けず、肩がぶれていたので、腕ふりは上腕から先だけで振っていると指摘されました。そして肩甲骨で腕を引き、その反動を利用して力を使わず腕を振るとアドバイスをしてくれました。ただ、なかなかイメージすることが出来ませんでした。

(改善方法)

これも星野コーチが私の悪い腕ふりを再現し、私はそれを触って確認しました。そして肩甲骨で腕を引くという動きも再現してくれました。触ることで頭では理解はできたとしても、実際にやってみるとなかなかうまくは行きませんでした。そんな時、星野コーチが「引き出しが前にあるとしてそれを肩甲骨を意識して引いてごらん」とイメージしやすい事柄で教えてくださりました。それ以降、肩甲骨を使って腕ふりができるようになりました。

 

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フォーム改善の効果

昨年のベストは、1500m4分27秒、5000m16分51秒でしたが、1500m4分19秒、5000m16分18秒と大きく伸びました。

またタイムは安定し、5000mのシーズンベストから3番目のタイムはこのようになりました。

2017年 16分51秒-17分02秒-17分30秒

2018年 16分18秒-16分23秒-16分38秒

星野和昭コーチから

jogの時にしっかりとフォームの意識付けです。そこで固めた動きで速く動いた時にどうなるか。唐澤にはjogと1000m全力がイコールになるようにといつもいっています。

動きを作るにあたっては唐澤が述べたことがすべてで触らせてどういう筋肉の動きになっているかを常に確認。動いてみてまた確認と指導しています。

健常者で言えばビデオでフォームチェックをしているのと変わらないのかなと解説しながらで唐澤がやっている効率の悪いフォームを真似してここに力が入っているからとか視覚情報が無い分触らせてみたりで立体的な指導になっています。

上武大のときもポイント練習のあとにビデオチェックを夜集まってやっていたので感覚としては指導方針に変化はないように感じます。

作用と変化を共有といったところです。

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本ページより

星野和昭さんにはトレランテクニックセミナーの講師をお願いしたり、東京に来た際にウルプロ練習会に来ていただいたりしています。

ウルプロ練習会ではビデオチェックにより、本人の主観と客観を一致させることを意識してもらい、どこを意識して動くとどのような結果になるかを体感し、そのことをメンバー全員に言葉にしてもらってますが、すごく近いと感じました。

先日ある事に気付きました。みちのく津軽ジャーニーラン後の練習会で痛めた箇所があり、練習前のストレッチ指導を行なっている時のことです。

普段は私が同じ動きをしながら、言葉で説明しながら行いますが、私が出来ない動きは言葉だけで伝えましたが、メンバーはどんな動きをするか分かっているから何事もなくいつも通り動いていましたが、自分がいつも通り伝えた言葉だけでは動けない。とその時、私は気付いたのです。

動作を見てもらって、それを言葉で補うことは、フォーム作りにおいても同じですが、いかに視覚情報に頼っているかに気付き、極論すると言葉だけでも伝わるような表現法や伝え方を磨けば、もっと伝わりやすくなると思ったのです。

また身体を触ることですごく意識できることも多々あるので、ウルプロ練習会でもいくつか導入しています。そのことが多くのメンバーのフォーム改善に繋がっています。

そのようなタイミングだったので、今回の唐澤選手と、星野コーチにインタビューして記事が書けるというのは出来過ぎたタイミングだと感じました。

唐澤選手が改善をはかった5つのポイントは、多くの市民ランナーが抱えている問題点です。あえて目を瞑って実施する必要はありませんが、参考になるポイントは多々あると思います。

今回のインタビューを通して、視覚障害者から学ぶことは多々あると思いましたので、これからも定期的に記事にしていこうと思います。

唐澤選手は200m25秒、400m58秒で走るスピードの持ち主です。今後世界に羽ばたいていきますので皆さん応援してください。

アスリチューンも唐澤選手の活躍を応援してます。

唐澤剣也さんを応援する会のページも合わせてお読みください。

(画像提供:星野和昭さん)



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