失速レースから1週間後に自己ベスト出したカギとは?〜ウルプロメンバーの気づき〜

10月末から全国各地でフルマラソンの大会が本格化したと思ったら、年内の主要レースは終了しました。

自己ベスト出した方もいれば、自己ベストを狙うも自己ベストに届かず悔しい思いをした方、そもそも自己ベストを狙えるようなコンディションにできなかった方もいるでしょう。

ウルプロ®︎には自己ベスト更新したメンバーはたくさんいますが、その中で読んだ方の参考になりそうな事例を中心に紹介しています。

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今回は、自信を持って臨んだつくばマラソンで思うような走りが出来ず苦い思いをするも、その翌週のハーフマラソンで自己ベストを更新した北沢さんを紹介します。

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□つくばマラソン失速後の気持ち

3時間一桁台を出して、サブ3への足がかりにしたいと臨んで走ったつくばマラソン。状態はよく、少なくとも3月の板橋シティで刻んだ自己ベスト3:11.32(グロス)は切れる。悪くても3時間09分台と目論んでいました。

結果は3.25.26。大惨敗でした。ハーフで歩き出し、やめるという選択肢もチラつくほど。悔しさと恥ずかしさと、自分への憤りと。「つくばまで来て、このレースのためにお金もたくさんかけてきて、俺は何をやっているんだ?」。レース中から自分に刃を向け、ひたすら我慢してゴールに進みました。

ゴール後に出会うチームメイトや友だちは、苦しみながらもシーズン初戦としては、まずまずのタイム。見事自己ベストを出し、歓喜の仲間も。それに比べて自分は…。

友だちと苦いビールを飲みながらレースを振り返るも、内心自分に不愉快で、ウェア、シューズ選択、食事、フォーム、ペース設定、ウォーミングアップ…どれをとっても悪いところばかりな気がして。これだけ自信があったのに、次に向かってどうすればいいのか、正直レース後は混沌としていました。

□なぜ思うように走れなかったのか

スタート前にやむ予報の雨が降り続く。気温は18℃近くになる予報があり、ウェアはノースリーブを選択してしまったため、寒さが堪える。シューズが濡れるのを嫌い、ウォーミングアップを割愛してしまう。

整列30分の間に冷え固まったにも関わらず、絶対ベスト!のガチガチな頭でスタートを切る。A2ブロックのサブ3を狙う人たちのペースに翻弄され、キロ4分前半から、速いと4分を切る想定以上のラップを刻んでしまう。

体の硬さと予定外のオーバーペースで、心拍数はあっという間に160オーバー(瞬間的には170オーバーの時間もありました)。序盤からこんなに苦しいフルマラソンは初めての経験でした。

我を取り戻せぬまま5km。その後ペースを抑えるも、もはや上がっておさまらない心拍数。混乱しながら無理して走り続けました。

しかし、この我慢もハーフが限界。苦しい、やめたい、このまま持つわけがない。ネガティブな気持ちに支配され、歩き始めました。

いつも一緒に切磋琢磨させていただいているチームメイトの2人が、前週の神戸、前日の大田原で、最近の実力どおりの躍進のタイム。自分だってできないはずはない!と、変な慢心が膨らむ。どこかこの時点で他力的な評価となり、自分を見失ってレースに臨んでしまったのかもしれません。

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□翌週ハーフまでにどう切り替えたか

ゴール後の自虐的な気持ちに支配される帰路、コーチからメッセージをいただく。

「故障ですか?大丈夫?」

レースの状況を伝えると

「まず自分のフォームを可視化してみてください」

幸い歩きも入り、きちんと走れなかったので、レース後の疲労感は少ない。火曜の仕事明けに本番イメージで、セルフ動画を撮影してみる。いつもと変わらないないフォーム。特段悪いところは見つからない。

コーチに動画を送って見ていただいても

「大会後なのにフォームは崩れていない」

「まわりの躍進に自分もやらねばと、高ぶる気持ちがよい結果を導く人と、ダメな人がいますよ」

私はまさにダメな方。

さらに水曜の午後練で

「北澤さんは完全に意気込みすぎ!これに尽きる」と、そう言っていただく。

この何気ない言葉が、レース後混沌としそうな考えを晴らし、やってきたことや方向性には間違いないことを確信させてくれました。

「以前はフルを走れば、どこか痛めていた気がするけど、レース後2日で全然走れているじゃない」

故障がちな私でしたが、歩いたとはいえ、フルを走っても足が壊れていないのは、大きな進歩。

技術的な指導ではなく、メンタル的に言葉の力強い支えをいただき、しっかりと前を向き直すことができた、ターニングポイントの練習会でした。

では、目前に迫ったハーフはどう走るか?

完全につくばの逆をやってみる。

・タイムは考えない(フル明けPBなど出やしないだろう)
・時計(ラップ)にとらわれない。見ない。
・入りを抑えて入る
・ウォーミングアップを怠らない
・何より意気込まない!
等々

時計を一切見ずに走った自分の体感では、4.15前後、時折4.30近くまで落ちてるかな?という感覚で走ってましたが、後でログを見るとそれよりだいぶ速い、4分前半が長く推移。心拍も140台から高くて160台と安定していました。フルよりペースが速く、苦しいけれど、前週に比べたら圧倒的にラクでした。

時計を見ずに走ったので、PBに気づいたのは、最後の東京タワー下の大型時計を見たのがはじめて。驚きとともに、ゴール後は涙腺が緩みそうなほど、気持ちが高ぶりました。

狙ったレースでもないのに、ここに押し上げてくれたのは、この週半ばにいただいた”言葉”。言葉は人を強くもするし、弱くもする。真っ先に伝えたくて、結果をコーチにメッセージしました。間違いではないんだ、そう気づかせていただいたあの言葉に感謝です。

 


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北沢さんはフォーム改善を進んで故障しにくくなりましたが度々故障していたし、仕事柄不規則な生活をせざるを得ないことから何度か貧血になっています。

男性ランナーも貧血にご注意を(ドクターランナーからのアドバイスを追記)

そのような背景があるため、北沢さんが書いた内容のメッセージを送りました。その返信には、序盤でペースをつかめず速すぎたと言うこと以外に、忙しさからロングの練習が一切できなかったことでスタミナ不足だったこと。また故障はなかったということ。今後はロングとセットにした練習を組み直し、勝田に向けてがんばりたいということが書かれていました。

文面からも、失速した悔しさからレース後すぐにロング走など負荷の高い練習を再開してしまうと感じました。そのことは、そもそも貧血や故障歴のある北沢さんにはリスクが大きいと感じたので、まずは冷静に客観的に自分がどんな走りをしていたかを考えてもらうために、ジョグで体の状態を確認する際に動画撮影してみてとアドバイスしました。

また、冒頭、「自分に不愉快で、ウェア、シューズ選択、食事、フォーム、ペース設定、ウォーミングアップ…どれをとっても悪いところばかりな気がして様々なことがダメだった」と振り返っていますが、私は一番悪かったと感じたのは、周りが良いタイムを出したから自分も良いタイムを出さなければ行けないと強い義務感を自分に与えていたことです。ラップを見るとそれがよく分かりました。

そこに気付いて欲しかったのです。

ランニングに限らず、自分自身にプレッシャーをかければかけるほど実力を発揮する人もいれば、プレッシャーが本来の実力を圧縮してしまう人もいます。

せっかくよくなってるフォームを変えようとしたり、体調を崩すようなことにならないようアドバイスをするのがコーチの役目だと思ってます。

アドバイスにしたがい、ジョグやフォームを撮影した北沢さんは、フルマラソン後なのに身体に痛みがないことや、フォームが崩れていないことに気付き、それも自信になったと思います。

フルマラソン翌週にハーフマラソンを走ることについては、そもそもなぜエントリーしたのかは分かりませんが、つくばマラソン後に自分自身を見つめ直したからこその結果です。また自分はどのような精神状態で、どのように走った時に良い結果が出るのかが分かったと思います。

自分自身思うような走りができなかった時は、全てがダメだったと自分自身にがっかりしてしまう方は多いですが、従来よりよく出来たこともきっとあります。出来たこと・出来なかったことをしっかり考えることが大事です。

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