信越五岳110km〜関門突破率・完走率・気象データなど2018年から2023年の比較〜前編

9月16-18日に開催された信越五岳トレイルランニングレースは昨年も低い完走率でしたが、今年はさらに厳しい結果となりました。

私は2012年から2019年まで5回走ってから、直近2大会は走っていませんが好きな大会・コースなのでトレイルランニングを再開する時には走りたいと思っています。

今回データをまとめる理由として、自分自身が先々参加したいと考えた時の参考資料にしたいだけではなく、しっかり準備をしたはずなのに思うような走りができずリタイアした方が、周りにも多数にいます。どうすれば完走できるのか分からないと投稿している方もいるので、そのあたり参考になればという思いからです。

(2019年大会の序盤)

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私の信越五岳

私が走ったのは2012年、2013年、2016年、2017年(100mile→短縮102km)、2019年の5回です。2012年、2013年はトレラン経験が浅いので怪我をしないように気をつけて走りましたが、それでも17時間台で走れました。2016年は長引く肩周りのケガが治らず大会を迎え、悪天候によりグチャグチャ・ツルツルになり何度も転倒し、袴岳からの走れる緩やかな林道で大転倒。さらには平らな場所でも場所でも転倒する様な状況にこれは危ないと、残り90kmはほぼ歩いて完走しました。100マイルが追加された2017年は苦手な夜スタートで睡魔や胃腸障害などに苦しみました。2019年はレース直前のトレランシューズ試し履きイベントでの足首捻挫からのスタートで絶対に足を捻ってはいけないと、不安定な場所はほぼ歩いて完走しました。このように最初の2回以外はあまり良い思い出はないけど、悪いなりに完走したことは良い経験になっています。

また、2016年と2019年は序盤からも歩きを多用して、中盤以降はほぼ歩きですが関門時間に追われるようなレースにはなっていません。

また、100mileは2017年に出場しましたが102kmにコース短縮となりました。短縮された以降の箇所も4回は走って居ますが、通して100マイルのコースは走ってないので、今回は客観的数値に基づくこと以外にはふれず110kmについて書きたいと思います。

コースや関門時間

コースは2022年と2023年は主催者ページを見たところ大きな変更点はありません。また2019年と2022年を比較するとスタートからバンフまでが従来の22kmから19kmと3km短くなり、第2関門の笹ヶ峰までがスタートから65kmあったのが60kmと5km短くなり、その短縮分のほとんどは、ラストの飯綱林道入口からフィニッシュ地点が遠くなったことで総距離は110kmから111kmと1kmアップとなっています。最後の区間は従来8kmでも結構長いと感じていましたが13kmになりました。関門時間は第1関門が10時間から9時間30分、第2関門が12時間から11時間30分と30分短縮されました。第2関門まで距離が5km短縮で関門時間が30分短縮ですから前半の関門は甘くなりました。(と言うことは前半ギリギリだと後半は厳しくなるわけです。)

今年の大会ページの地図と、2019年に保存しておいた地図を並べてみました。間違い探しの要領で違いを見つけてみてください。

第1関門  
2019年まで(52km 10時間) 11’32/kmペース  
2022年から(49km 9時間30分)11’37/kmペース

第2関門  
2019年まで(65km 12時間) 11’04/kmペース  
2022年から(60km 11時間30分)11’30/kmペース

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2018年から2023年の関門突破人数比較

速報ベースですが、2018年大会から今回までの4大会の関門突破率と完走率など主催者発表データを元に作成してみました。

私の信越五岳110kmの印象は完走しやすいトレイルレースです。完走率も7割程度はあったと思うのですが、調べてみると2018年は65.6%でしたが、2019年は55.2%と約10%落ち、2022年44.6%、そして今年は39.6%と完走の難しい大会になっています。

出走者数は、私が初めて走った2012年と比べると、100マイルが追加されたこともあり2倍以上になっていますが、このことも完走率が低下した一つの要因だと思っています。そのことについては別途書きます。

さて、比較的コンディションに恵まれた2018年は第1関門を通過できなった選手は3.7%しかいません。私が初めて走った2012年大会前のコース説明などでも、第1関門の黒姫までは距離も半分にも満たず、林道が大半を占める区間なのでウオーミングアップ的に余裕を持って通過しないとフィニッシュは厳しいと話していました。

それが、気温が高くなった2019年は16%が脱落しました。この時は私も走りましたが、朝から日差しが非常に厳しく、気温もグングン高くなる厳しいコンディションでした。そして昨年は第1関門がやや緩くなったのに、ここで脱落した選手が20.8%と増加しました。そして今年は22.3%とさらに悪化したので2019年よりさらに厳しいコンディションだったことはイメージできます。

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気象データを調べてみました。

2019年と2022年、2023年の気象庁データ

こちらの画像は、2019年大会当日の飯山の気象庁のデータです。念のため書いておきますが、レースは広域な場所を走るので標高の高い場所では気温が下がるなど、選手が走った時に以下のような気温だったとは言えません。目安程度に考えてください。

この時は、主催者が手配したバスが予定した時間にこないなどトラブルがあり、スタート時間は30分遅れの6時となりました。例年はスタート時は上着がないと厳しい寒さの中スタートしますが、この時は最初からやや暑いと感じていました。そしてスタートから4時間ほど経過した袴岳あたりから強烈な日差しと高温に苦しんだのを思い出しました。この時の最高気温は観測地点は違いますが上記データだと30℃に達していません。

こちらが昨年のデータです。スタート時点から明らかに気温は高く、日中は5時間にわたって30℃を超えています。この気温の中を走るのはかなり厳しいです。

そして、こちらが今年のデータです。

昨年は30℃を超えたのは12時ですが、今年は10時で31. 1℃となり12時では34℃と非常に気温が高く、さらに昨年より直射日光が厳しいのです。

黒姫の関門閉鎖が15時ですが、その手前の日陰のない川沿いを大半の選手が昼前後に走ります。その時に30℃どころか34℃まで上がり、それも直射日光をガンガン浴びる状況を考えると相当な過酷さです。

私が走った2019年もかなり暑く、焼け付くような日差しがキツかったけど、今年はそれどころではないことが分かります。(気象データは飯山なのでコース全体がそうであったかは分かりません)

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上位選手のタイム比較

2023年2022年2019年2018年
1位12:09:0112:53:3611:33:0111:10:02
2位13:17:5413:01:1612:07:1911:15:43
3位13:36:1913:02:3212:42:1612:45:08
4位13:38:5113:17:0313:08:5912:48:31
5位13:40:4813:51:4913:11:2712:52:43
6位13:49:5413:55:2513:36:4213:25:48
平均13:22:0713:20:1612:43:1712:22:59

2023年の優勝タイムは2022年より速い44分速いタイムとなりましたが、上位6人の平均タイムは昨年とほぼ同じです。気象条件の良かった2018年の優勝タイムと比べると約1時間遅く、上位6人の平均タイムも約 1時間遅いタイムとなりました。比率にすると約8%遅くなっているのです。

上位選手は走力だけではなく、経験豊富でレースマネジメントなども上手なので上位に入れます。その上位選手6人のタイムが平均で8%遅くなっている大きな原因は間違いなく気象条件でしょう。

今年は気象条件が良ければ21時間で走る力が必要だった!?

気象条件により2018年より1.08倍遅くなったとしたなら、2018年であれば20時間22分で走る力がないと2023年は制限時間(22時間)で完走できないと考えることができます。実際には2018年に21時間以上かけてフィニッシュした選手の中には制限時間に余裕があったことで終盤は無理せずゆっくり休憩しながら走った選手も少なくないと思うので単純比較はできませんが、2018年大会で20時間22分以内で走った選手は179人、21時間以内で走った選手は221人です。

また、2023年大会の完走率は39.6%でしたが、2018年大会の上位39.6%(236位)のタイムは21時間10分18秒です。

今回完走できなかった選手も、2018年のような気象条件であれば完走できる力はあったかもしれませんが、逆に涼しいコンディションであれば余裕を持って関門時間など気にしないで走りきれる走力やレースマネジメント能力が必要ということです。

気象条件が厳しくなればタイムは落ちます。それはフルマラソンなどロードレースでも同様です。絶好のコンディションでサブ3やサブ4などギリギリできた選手が、厳しい気象条件で達成する可能性はほぼありません。気象条件はコントロールできませんから、悪条件でも完走したいと思うなら走力を高め、悪条件によるダメージを多少でも軽減するレースマネジメント能力が必要になるのです。

近年、完走率が低下している大きな要因は気象条件ですが、それ以外にも感じていることはあるので後編で書きます。

 

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