女子世界トップはサブ3ペース〜2022年IAU100km世界選手権〜

大会前日に、日本代表選手のタイムや、現在の世界のレベル感をお伝える視点でこちらの記事を作りました。

また、男子についてはこちらで紹介しました。

今回は公開されている情報をもとに、男子同様、女子のレベルが一気に高まったことなど紹介します。

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画像は、選手団として現地入りしている、ELDORESO代表の阿久澤 隆氏から提供いただきました。

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(全て敬称略)

リザルト(女子個人)

順位タイム氏名平均ペース
17:04:03Hot, FlorianeFRA4:15
27:06:32Chaigneau, Camille FRA4:16
37:07:16Jennings, CaitrionaIRL4:17
47:15:29Olsen, CourtneyUSA4:22
57:15:35Lipiäinen, SatuFIN4:22
67:19:12仲田 光穂
(千葉陸協)
JPN4:24
107:32:22藤澤 舞
(札幌エクセルAC)
JPN4:32
127:35:25太田 美紀子
(京都炭山修行走)
JPN4:34
DNF兼松 藍子
(TEAM R×L)
JPN

6位 仲田 光穂(千葉陸協)

10位 藤澤 舞(札幌エクセルAC)

12位 太田 美紀子(京都炭山修行走)

兼松 藍子(TEAM R×L)

(兼松選手は体調不良により終盤DNF)

2018年大会の上位6人のタイムはこちらです。

  1. ŠUSTIĆ NIKOLINA            07:20:34
  2. ALDER-BAERENS NELE         07:22:41
  3. 藤澤 舞(札幌エクセルAC)      07:39:07
  4. 太田 美紀子(京都炭山修行走)  07:39:45
  5. 兼松 藍子(TEAM R×L)      07:44:58
  6. 楠瀬 祐子(東京陸協)          07:49:33

今回、10位の藤澤選手、12位の太田選手ともに、前回の記録を上回る走りをしましたが順位は下回りました。また今回6位の仲田選手(初出場)は前回の優勝タイムより速いのです。

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世界トップを目指す条件

優勝したHot, Floriane選手の平均ペースは4:15/kmペースですが、前半はもっと速いペースでレースを展開していました。日本人4選手のうち、仲田選手は上位選手を追いかけ、3選手は前半抑えてイーブンペースでじっくり周回を重ねました。途中経過を見ながら日本人4選手とも自分の得意な展開で走っているから後半になれば順位はどんどん上がり入賞圏内に入ってくるかと思っていましたが、上位選手が全然落ちてこないのです。

結果、上位3人が7時間10分を切る好タイムでフィニッシュし、6位までが7時間20分を切る女子としては驚くべきスピードレースとなったのです。

参考までにサブ3ペースは4’15.93/kmペースです。このペースで100kmを走ると7時間06分33秒になるので、まさに2位まではサブ3ペースで走りきったのです。

5位までの外国人選手のフルマラソンのタイムは分かりませんが、6位の仲田選手は2時間39分49秒で、10位の藤澤選手は2時間35分52秒が自己ベストです。(いずれも1年以内に出した記録)

今回男子優勝の岡山選手のフルマラソンのタイムは2時間14分53秒で、今回のタイムは6時間12分09秒なので、約2.76倍です。コースや気象コンディションにもよりこの倍率の目安は変わってきますが、同じレースであれば一般に女子選手の方が低い倍率で走れると言われていますが、優勝タイムの7時間04分03秒を同じ倍率の2.76倍で割り戻すと2時間33分38秒。2.7倍程度で走る選手もいるのでこの倍率で計算すると2時間37分03秒です。いずれにしても上位3選手は2時間35分前後の走力を持っているのは間違いないでしょう。

日本人3選手の倍率はこちらになります。

氏名順位タイムフル倍率
仲田 光穂67:19:122:39:492.75
藤澤 舞107:32:222:35:522.90
太田 美紀子127:35:252:44:532.76

記録会ではなく世界選手権なのでタイムより順位が重要ですし、また心身のコンディションによっても大きく変化します。

さて、今回のレースは7時間10分を切らねばメダルを取ることができませんでしたが、このようにスピードレースとなってきた中で世界一を目指すためには、フルマラソンで2時間35分前後の走力が必要になっています。2時間35分は3’40/kmペースですが、そのペースで走れる走力があれば先頭集団が前半キロ4分ペースで展開しても無理なくついていくことができます。

その上で100km走る心身の強さが必要になるのです。

女子の世界記録は20年以上前の安部選手が出した6時間33分11秒がしばらく破られていませんが、歴代2位も日本人で櫻井選手の7時間00分27秒です。しかしその後10年以上は7時間30分を切る選手は現れずに、今年5月の柴又100kで仲田選手が久しぶりにサブ7.5を達成しました。その仲田選手は今回7時間20分を切ったのだから凄いことです。しかし、それ以上に世界の伸びは大きかったのです。

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リザルト(女子団体)

順位タイム平均タイム
122:14:46アメリカ7:24:55
222:16:46フランス7:25:35
322:26:59日本7:28:59
4 23:03:37イタリア7:41:12
523:19:06イギリス7:46:22
623:50:19クロアチア7:56:46

前回大会は日本が23時間03分50秒で優勝しました。今回はそのタイムより約37分(1人あたり12分以上)速く走ったのだから、素晴らしい銅メダルです。フランスは個人1位、2位でしたが、3人目が32位でタイムを落としましたがアメリカは4位、7位、11位とまとめました。

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今大会後の世界歴代ランキング(100kmロード)

順位タイム氏名
16:33:11安部 友恵JPN
27:00:27 櫻井 教美JPN
37:00:48 Trason, AnnUSA
47:04:03 Hot, FlorianeFRA
57:04:36 Stelmach, DominikaPOL
67:06:32 Chaigneau, CamilleFRA
77:07:16 Jennings, CaitrionaIRL
87:08:35 Herron, CamilleUSA
97:10:32Zhirkova, TatyanaRUS
107:15:29 Olsen, CourtneyUSA
117:15:35Lipiäinen, SatuFIN
127:18:06Pastorova, PetraCZE
137:18:53 Churanova, RadkaCZE
147:18:57Lennartz-Lohrengel, BirgitGER
157:19:12仲田 光穂JPN
・・・・・・・・
227:23:56翔 ひろ子JPN
377:30:23 堀田 麻樹子JPN
437:31:53藤澤 舞JPN
507:33:38 片山 志保JPN


6:33:11という世界記録は別格すぎる大記録です。この記録を破るには日本選手であれば2時間25分以内のスピードを持ち、100km走れる心身の強さが求められますが、このレベルになるとMGCに出場するトップ選手になります。そのレベルの選手になると大会に出るだけで出場料がもらえたり、優勝すると1000万円単位の賞金がもらえたり、実業団選手であれば所属チームからボーナスなど報酬を受け取ることができます。そのような選手が、スポンサーや所属チームの意向ではなく自らの意思で100kmに出場し大記録を打ち立てても現時点ではほぼ収入に結びつきません。世界選手権などに大きなスポンサーがつき、大きな賞金が用意されれば一気に状況は変わるかもしれませんが、現時点ではこのタイムを破る選手はしばらく出てこないでしょう。

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