以前は故障したというと、膝が多い印象がありましたが、最近はスネやふくらはぎなどを痛めたという話が多いように感じます。
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張りが強いと感じたら、悪化しないよう治療したり練習をやめたら、いわゆる故障には至らず比較的短期間に練習を再開できるケースが多い中で、その身体からのサインに気付いていながら、決めた練習を続けることで、長期間走れないような故障にいたるケースも少なくありません。
ウルプロ練習会では、今まで感じたことがない違和感を感じたら、ペースを落とすのではなく、すぐに止まって確認するように伝えていますが、そこで止まるかどうかが故障の境界線になることもあります。
こちらで書きましたが、張りや痛みを感じてから慌ててスポーツマッサージなどに行くのではなく、定期的に自分の身体の状態を把握しておき、危険水域に近づかない。もしくは危険水域に近づいてることを認識して練習することで故障リスクは減少します。
レベルアップのためには身体に一定の負荷をかけねばなりませんが、負荷がかかるわけですから故障リスクは増大します。
特に効率良く走れるフォームが身についてくると、今までは短い時間・距離しか走れなかったスピードを長時間・長距離維持できるようになるので身体への衝撃による蓄積は増加します。
身体の強さは個人差が大きく、同じような負荷で練習し身体のケアをしない場合においても、故障しない人はしないし、故障する人はします。
また自分は身体が強いと思っている方も実は結構危なく、弱い部位があればそこに大きな負担がかかります。
ここまでは前回も同じような話を書きました。
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今回は少し前に整形外科医の諏訪さんとメッセージでやりとりした中に、ランナーにとっていろいろヒントになることがあるので紹介します。
まず、走っている時は痛みが出ないのに、走った翌日にふくらはぎの張りが急に強くなったりスネが痛くなった経験ありませんか?
私も何度か経験してますが、中には翌々日に出る方もいるようです。私はこの状態になったらまずはスポーツマッサージにいきケアをして、また原因を明らかにして同じような状況にならないように気をつけますが、全く原因が分からないこともあります。
走っていて痛みが出たら悪化しないように気をつけることが出来ても、走っている時は平気なのに、後日痛みが出るのは厄介です。
たまたまウルプロメンバーで同じような状態になった話を聞いたので、諏訪さんに質問しました。
(質問)なぜ翌日以降に痛みが出るのか?
(回答)時間が経過してから症状が出るメカニズムは、走っている最中は交感神経系が優位になるために痛みや疲労感を自覚しにくくなっているためです。また最近は乳酸自体は決して悪いわけではなく、運動に伴う筋のエネルギー源であるグリコーゲンの枯渇や相対的な脳血流不足が疲労源という研究結果を多く見かけます。これは練習強度にもよりますが、ある一定のレベルを超えた際に症状として出てきますので、少しずつ蓄積した結果ということになります。脳の中枢性疲労と筋の末梢性疲労のタイムラグがあることも関連していると思います。
予防や回復のためのアドバイスを質問しました。
(質問)オススメのケアなど
例えばふくらはぎの張りが時間が経ってから出る症状の場合は、緩和するために練習負荷を落とす。そしてアイシングやセルフマッサージをする以外にオススメはございますか?
(回答)根本的には地面を蹴らずに押し出すフォームの取得ですが、段階着圧のゲイターは即効性があります。
アイシングも有効ですが、交代浴がオススメです(家でする場合は冷水シャワー30秒+湯船5分を3セット、そして最後は冷水シャワーで終えるのがポイントです)
最近、足首周りの故障が多いと感じてますが、その一つである腓骨筋腱炎についての予防方法を聞きました。
(質問)テーピング使用の効果
腓骨筋腱炎は、足首が接地時の傾きにより出やすいようですがテーピングで傾きが出ないように固定するのはいかがでしょうか?
(回答)腓骨筋腱炎は足部の内反(かかとが内側に倒れる)接地によりますが、痛みが出る人と出ない人の差は、そこから荷重をしていった際にどの程度足が内反方向に倒れ込んでいくかというダイナミックな部分が鍵になります。そういった点からは過度な動きを制限するテーピングには一定の効果が期待できると思います。
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ヴェイパーフライ4%やネクスト%を履きこなすためにフォアフット着地を習得しようとするランナーが増えてきました。水戸黄門漫遊マラソンでも周りを走るヴェイパーフライを履く大半のランナーはフォアフット着地をしていました。
ただ、フォアフット着地を習得する過程で気をつけないといけないことについて、私の考え方が間違っていないかどうかを質問しました。
(質問)フォアフット着地について
膝下のシューズ部分が膝より前に出てしまう状態での接地は通常踵からになりますが、その体勢から爪先側で接地してしまうと負担は大きく、身体の軸に対して、真下に接地出来れば、自然と爪先から入って踵を着けば負担は小さいと思いますがいかがでしょう?
また、身体の軸に対して真下でも、多少前傾すれば、少し後ろ側で接地になりますが、その時に足を下ろすだけなら負担は小さいと思いますが、その体勢で脚を前に出しストライドを伸ばそうとすると、前接地になり負担大きくなると考えていますがいかがでしょう?
(回答)同感です。
ナイキのシューズの宣伝によりフォアフットが流行っていますが、バイオメカニクス的には接地が体軸の真下であればロスが少なく、自然なミッドからフォアフットになるはずです。
ストライドが大きくなるほど体軸の前方で接地することになり負担増です。
トップランナーは骨盤の前傾と腰椎の前弯、本来は後弯している胸椎を真っ直ぐに近づけることにより上半身を前にせり出させることでストライドの大きなフォアフットを可能にしています。これは体幹と骨盤を支える臀筋群が相当強くないと故障必発です。
(質問)フォアフット着地と故障
フォアフット着地でストライドを伸ばそうとした場合に故障しやすい箇所は?
(回答)故障しやすいのは着地衝撃のかかる足底腱膜、アキレス腱と腓腹筋で、鵞足炎や腸脛靭帯炎などにもなりやすいです。
今回は、瞬く間に上級者向けランニングシューズ市場を席巻したナイキ ヴェイパーフライを購入するランナーが、そのシューズを効果的に使うためにフォアフット着地を練習するランナーが増えているので、その観点も含めて記事にしました。
諏訪さんには、ウルプロ®︎メンバーが故障した時に診てもらったりしていますが、世界レベルのアスリートもアドバイスを受けています。
以前、アスリチューンサポートランナーの牛田美樹選手が骨折した時に、諏訪さんにリハビリ中のトレーニングなどアドバイスをお願いしました。その怪我が治った後、牛田選手は最後の開催となったSTYで優勝しました。
また、市民ランナーのために私が伝えたいことを医学的見地からアドバイスしてもらっています。
峠走の下りでのリスク、注意点とその対処法
その諏訪さんが近日、書籍を出すようです。まだ詳細は確定していませんが、このような内容だと教えてもらいました。
諏訪通久医師 著
「自己ベスト最速達成メソッド(仮)」
今までありそうでなかった内容を余すことなく盛り込んだ新時代のランニング教科書スポーツドクター目線からの
障害予防、体調管理、食事・栄養管理日本陸連公認コーチ目線からの効率的トレーニング
サブ2.5市民ランナー目線からの実践的なレースマネジメント、確実に結果を出すための秘訣
ランニング関係の書籍はたくさん発行されていますが、諏訪さんにしか書けない内容なので早く読みたいです。