阿蘇ラウンドトレイル④〜暑さとの戦いには負けなかった〜 から続く
夜間はかなりの冷え込みが予想されたが、結果的にそれほど気温は下がらなかった。
AS4 高森町町民体育館はミドルのスタート地点であり、またドロップバッグを受け取れるエイドステーションだ。
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距離は半分を超えているが、高低図を見るとよく分かるけどノコギリの刃のようなアップダウンが続いてから大きく下り、登り、下り、登り、下り、と厳しいコースが待ち構えている。しかも夜間トレイルになる。
また、ここからは蛭が結構いるらしい。。
暑さからは解放されるが、細々と延命させている脚でこれまで以上に厳しくなる地形を安全に進むことが出来るのか考えると不安しかない。
そこで、私は先々のことを考えたり、次のエイドステーションより先の高低図は見ずに、とにかく次のエイドステーションに辿り着くことだけを考えた。
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ドロップバッグを受け取り、シューズを履き替え、Tシャツを脱ぎ、ファイントラックのインナーと長袖Tシャツを着た。そして濡れた帽子を脱いでネックウォーマーを頭に巻いてヘッドライトを装着。また腰にもライトを巻いて、1000ルーメンのハンドライトはnakedランニングバンドに入れた。足下を明るく照らすことは夜間トレイルにおいての安全対策として非常に有効だ。また睡魔予防にも繋がる。
日中ほど水分は要らなくなるので軽量化のためにハイドレーションは外してソフトフラスク2個と予備1個で後半は走る。
夜間どれだけ冷えるか分からないので、メリノウールのシャツを持つか迷ったが、これはやめて軽いレインパンツをバックパックにしまった。またホッカイロを2個しのばせた。
アスリチューンも少し多めに入れたので、バックパックからライトなどを取り出したが、AS4に入る時と総重量はさほど変わらない。
セルフマッサージをしたり、蛭対策としてシューズやソックスに塩を塗ったり、スープを飲んだりしてるとあっという間に時間は経過する。
でも今回は焦らない。
完走するためにじっくり行く。
まずは次のエイドにどう辿り着くかだけ考えながら進む。
そして、次のエイドまでをさらに細分化し、次のピークまであと何メートル登るのかを考え、SUUNTO9の高度計の数値がピークに近づいていくのを楽しみながら登った。
しかし、ピークまであと100mという箇所から頑張って登り、残り40m、30m・・・と減っていき、もう一息と思うと、下りになり再びピークまで100m地点になるなどの偽ピークが後半は非常に多い。それは掲載した高低図の小さなギザギザにもあらわれないような箇所にもあるので来年参加する方は、そのようなコース設計だと思ってガッカリしないで欲しい。
また、階段も多かったが、中には徐々に傾斜がきつくなり、最後はハシゴのように両手を使わないと登れないような階段もあった。下を見ても暗くてよく分からなかったが、明るかったら足が竦むレベルだったと思う。
普段は出来るだけ止まらないようにしているが、どうにもキツくて止まりたくなったり、木の切り株に腰を下ろしたくなった時は、短時間休むことにした。キツくても我慢して動き続けるとその反動から全く動けなくなることもあるから時間を考えながらも過度にストレスを感じないように進んだ。
路面状況に関しては、今回は大会前にもさほど雨が降っていないが、それでも非常にスリッピーな箇所もあった。もしレース数日前にそれなりの雨が降っていたら難易度は一気に上がるだろう。
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峠を登りきると街の灯りが綺麗に見える箇所もあった。
また、前後にランナーがいない時に、ライトの光を両手でふさぐと真っ暗闇になる。視界が奪われると聴覚などが研ぎ澄まされてくる。無数の動物や虫の存在を感じる。
私がオーバーナイト区間のあるトレランではよくこのようなことをするが、一人で山に入るスキルや経験はなくとも大会だったら出来る非日常だ。
そのように過度にレースのことばかりを考えないようにした。なぜなら肉体的に厳しい時に、残り距離や時間など考えはじめると精神的にもキツくなるからだ。
今回、ゴールできないかもしれないと考えたことはあるが、自らやめようとも思わなかった。順調ではなく考えていたレース展開とはだいぶ変わってしまったが、そのようなレースだからこそ完走することに意味がある。
そして、ゴールしたいと続けることに意味がある。
阿蘇ラウンドトレイル⑥ に続く