(撮影:石川美紀 以下全て撮影)
2019年12月14日から15日にかけて台湾で開催された東呉国際ウルトラマラソン(24時間走)でアスリチューン・アグレッシブデザインサポートアスリートの石川佳彦が2019年世界ランキング1位となる279.427kmで優勝
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IAU24時間走世界選手権は2年に1回開催され、2017年世界チャンピオンとなった石川は今年の世界選手権でも優勝候補の筆頭に挙げられていたが出場を辞退した。
その世界選手権では女子選手で初となる270kmオーバーがうまれるなどハイレベルなレース展開の中で、男子の5位までが270kmオーバーを記録した。
- SOROKIN Aleksandr(LITHUANIA)278.973km
- BODIS Tamas(HUNGARY)276.222km
- LEBLOND Olivier(USA)275.485km
- CLAVERY Erik(FRANCE)272.217km
- PENALVA LOPEZ Ivan(SPAIN)270.152km
石川の自己ベストは2017年世界選手権で出した270.870kmだったが、この記録を超える選手が4人もいたわけだ。
もちろん気象コンディションだけではなく、レース展開によって記録は大きく変わる。
今回石川は現時点の2019年世界ランキング1位の記録である世界選手権優勝記録を意地でも超えるとレースに向けて準備した。
1周400mのトラックを周回し、リアルタイムで結果が表示されるので、私はその数字を追いかけた。
石川は8時間経過時点で100kmに到達したが、その時点では世界選手権5位のLopez Ivanに次いで2位であった。
100km8時間以内すなわちサブ8を達成できるウルトラランナーは少ないが、まだ16時間残るレースのまだ序盤に余裕をもって通過している。ただ1位のLopez Ivanは103.6kmと石川に9周差をつけている。
しかし、石川はここから徐々に差を詰めて17時間経過した後に、満を期してトップに立った。
会場でレースをみた訳ではないが、この間に凄まじい心理戦があったと思われる。1時間ごとの記録をみただけでは分からないが一覧表にするとよく分かる。
8時間経過後にLopez Ivanのペースがやや落ちたタイミングで石川は周回差を詰めていき、11時間経過時には400mトラック1周差に詰めた。
そこからLopez Ivanもペースを少し戻したが、それから6時間に渡り、1時間に同じ周回を走り石川は抜くことをしなかった。
Lopez Ivanは序盤4’24/kmのハイペースで走っているが、自己ベストは273.674kmと石川の記録を上回り、270km以上を2回達成している世界的なウルトラランナーだ。
おそらく石川が抜いたら、背後から凄まじいプレッシャーを与え続けただろう。
石川が勝負をかけたのは、数時間に渡ってLopez Ivanの走りを観察し、17時間を過ぎてペースダウンをしたタイミングだった。17-18時間で石川は1.2km差をつけると、そこからは毎時間ごとに1周もしくは2周差をつけていった。
上記表をグラフにするとこのようになる。
序盤わずかにLopez Ivanが上にいて、終盤石川がわずかに上にいるがほとんど重なっている。
石川は698周というとんでもない周回数を重ねた。
また、石川と死闘を演じて2位になったLopez Ivanも274.332kmと自己ベストを更新した。
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今回の記録は2019年世界ランキング1位だけではなく、歴代4位という素晴らしい記録だ。上位3人の記録はこちら
- 303.506km Kouros, Yiannis
- 285.366km Hara, Yoshikazu(アジア記録)
- 282.282km Zhalybin, Denis
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石川はレース後にこう話した。
やはり世界選手権に出られなかった事で生まれたモチベーションというのは並々ならぬものがありましたし、レース中苦しくなった場面で何度も自分自身を奮い立たせる事ができました。辞退した世界選手権でのハンドラー問題。今回、世界ランキング1位の記録を叩きだし改めて世界一のハンドラーという事が証明できたのと同時に結婚してから初めてのレースで結果を残せて嬉しい気持ちです。
279kmという記録に関してはまだまだいけるという感覚があるので285kmのアジア記録、303kmの世界記録更新をモチベーションにして、これからのキャリアを楽しんでいきたいと思います。
世界選手権の件で色々とお騒がせしてしまいましたが、沢山の方々に応援いただき力に変える事ができました。本当にありがとうございました。
こちらは世界選手権後に書いた記事です。合わせてお読みください。
また石川選手が大会中に使用しているアスリチューンと、アグレッシブデザインのページのリンクを紹介しておきます。