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前話で紹介したSさんに続き、今回紹介するSさんは入会時は「PB出せるのは30代まで」と思っていたようですが、コロナ禍以前に、ハーフもフルも自己ベストを更新し、コロナ禍以降はフォーム改善と体幹強化によりスピードもついてきました。
Sさん(女性)
□コロナ禍以前のPBと現在のタイム
5000m 23分36秒(2018年5月)→ 22分37秒(2020年9月)
10km 48分16秒(2018年5月)→ 46分37秒(2020年12月)
□自己ベストが出た理由
・平日の朝、5kmだけ走る時間を作った。
以前は仕事などで練習会に行けないときが続いてしまうと全く走らない日も続いてしまい、せっかく調子が上がってきていたものが元に戻ってしまうようで、また最初からやり直しということの連続でした。 短い距離ですが毎日走る時間を持つことで走り方を忘れないでいられるので練習会に行けないときが続いてもゼロにまで戻ってしまうことがないように思います。
・体幹が強くなり地面を押す感覚が持てるようになった。
体幹トレーニングを行うようになって、いつもフラフラしていた片足立ちがしっかりできるようになってきました。 片足立ちができるようになってきたら腰が落ちづらくなり前傾姿勢も作れるようになってきて以前は地面に足を置いているくらいの感覚しかなかったのに地面をしっかり押している感覚を持てるようになりました。
・楽に走れるフォームの再現性向上と維持できる時間が伸びた
いつになっても楽に走れる感覚が持てなかったのですが、今年の7月に入った頃から新澤コーチから 「(写真の確認で)この位置の接地なら前に進みやすかったのでは?」とか 「腰位置が安定してきた」とか 「フォームが良くなってきた」などのお言葉をいただくことが増えてきました。 最近では「この走り方なら頑張らなくても体が前に進む」と思える走り方を再現できることが多くなってきて今回(10kmPB時)も「力を抜いたまま前に進む流れに体を預けてしまおう」と思えることができていて5kmを超えるくらいまでは楽に走ることができていました。
□練習会などでの気づき
いくつになってもPBはだせる
ウルプロ入会のきっかけは「速く走れるようになりたい」ではなく「長い距離を走れるようになりたい」でした。 もともとあまり記録にこだわりを持っていなかったこともありますし、仲良くしているラン友さんに「PB出せるのは30代まで」なんて言われていたこともあり40代も半ばを過ぎてそこから速くなるのは難しいだろうと思っていたので、ましてやPBを出すなんて考えてもいませんでした。
ところがウルプロではどの年代の方も真摯に自分の記録と向き合って練習をしていて50代でも60代でもPBを出される方がいらして本当に驚きました。 自分自身も「6’00”/kmで走り切るのは難しい」と思っていたのが「5’30”/kmは無理なんじゃ・・・」となり、つい最近まで「5’00”/kmなんてレースじゃなければ走れない」と思っていましたが気がつけば5’00”/km切って練習できるようになってきました。 そして自分もPBを出せることで年齢を理由に「できるわけがない」と自分に縛りを作る必要は全くないのだなぁと感じられるようになりました。いくつになっても目標を持って走るのは楽しいです。
□自分にとって自己ベストとは?
自分が「楽しい」と感じながら走れること。
もちろん記録を更新した時の達成感もその1つですが、いつもの場所を走っていたら思わぬ発見があると嬉しかったり、知らない場所を走ることでドキドキ、ワクワクしたり、仲間とワイワイおしゃべりしながら走ったり、走り終わった時に「あー楽しかった!」と思える走りができたら自己ベストだと思っています。
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Sさんがなぜ自己ベストを出すことができたかについての回答の中にも多くのヒントがあります。その辺りは特に私が補足することもなく、このような積み重ねをすればタイムは伸びるということをSさんは行ったのです。
今回、焦点を当てたいのは、「PB出せるのは30代まで」と言う言葉が、Sさんの心のブレーキになっていたということです。
Sさんは他のメンバーから見ても力をつけているのに、どこか自信を持てていないと感じた根底には、この言葉があったのだと思います。
大学や実業団で本格的に競技に取り組んできたランナーであれば、40代になってから現役時代に出したタイムを超えることは難しいでしょうが、大半の市民ランナーはそんなことはありません。なぜなら本格的に競技を取り組んできたランナーと違って「伸びしろ」がたっぷりあるからです。例えば年をとれば筋力は落ちると言われていますが、それは何もしなければ落ちるということであり、落ちないようトレーニングをすれば良いのです。また効率的なフォームでなかった方が、そのフォームを身につければ、それも伸びしろです。他にも伸びしろはたくさんあります。
この記事を読んでおられる方の中にも、年齢を理由に自己ベストを諦めている方は少なくないと思いますが、「やり残したことはたくさんあると思います。」それを試行錯誤するのもランニングの楽しみです。
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