昨日開催された東京マラソンの結果により、このようなニュースが掲載されました
会長悲鳴マラソン1億ボーナス消滅…原資残800万
要約すると
・日本実業団連合は15年7月から男女マラソンに報奨金を設定。今大会の報奨金は計1億7000万円で報奨金原資は残り約800万円となった。
・今大会は日本新の大迫に1億円、設定A=2時間6分台の選手1000万円+チーム500万円が2組、設定B=同7分台の選手500万円+チーム250万円が6組。
・同制度は、20年3月で終了し、3月8日開催の男子びわ湖毎日、女子名古屋ウィメンズ。両大会で日本新と設定Aが出ても満額は不可能
・報奨金額が残金をオーバーした場合は残り800万円の中から3分の2(約533万円)が選手。3分の1(約266万円)がチームへ支払い終了。日本新でも約533万円
・この制度は早いもの勝ちで、早くゴールした人がもらえる。
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そもそも、Project EXCEED®とは?
マラソン日本記録を出すと1億円が主にニュースになっているが、それ以外に実業団選手が設定記録を出すと奨励金が支払われます。
マラソン日本記録「突破」褒賞制度
対象記録は男女とも日本記録突破で、報奨金は選手が1億円で監督・チームに5,000万円。同一レースで複数の選手が日本記録を突破した場合は下位の選手は1,000万円(監督・チームに500万円)また監督・チームへの褒賞金は実業団登録者に限られる。
*同一選手の同一年度内の日本記録更新の際の褒賞は1回のみ。
実業団選手マラソン日本記録「挑戦」奨励制度概要
対象記録と報奨金は以下の2つ設けられている。(設定記録は、原則として2年ごとに見直しをする。)
(設定A)
男子 2時間6分59秒以内 女子 2時間21分59秒以内
報奨金 選手1,000万円 監督・チーム500万円
(設定B)
男子 2時間7分台 女子 2時間22分台
報奨金 選手500万円 監督・チーム250万円
対象選手は、実業団登録をしている日本人選手で、その所属チームが実業団においてチーム登録されている場合は監督・チームを対象としている。また対象大会は下記7大会
男子:福岡国際マラソン、別大毎日マラソン、東京マラソン、びわ湖毎日マラソン
女子:さいたま国際マラソン、大阪国際女子マラソン、名古屋ウィメンズマラソン*同一選手の同一年度内の褒賞は1回のみ。また同一選手が複数年度に渡って奨励金を授与対象記録を出した場合はその以前の記録を上回った場合にのみ対象。
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Project EXCEED®のページから過去の褒賞者を調べると以下の通りです。
*漏れなどありましたら教えてください。
大会名 | 選手名 | 奨励内容 | 選手報奨金 | チーム報奨金 |
2016大阪 | 福士加代子 | 設定B | 500万円 | 250万円 |
2018大阪 | 松田瑞生 | 設定B | 500万円 | 250万円 |
2018東京 | 設楽悠太 | 日本記録 | 1億円 | 5000万円 |
2018東京 | 井上大仁 | 設定A | 1000万円 | 500万円 |
2018シカゴ | 大迫傑 | 日本記録 | 1億円 | |
2018福岡 | 服部勇馬 | 設定B | 500万円 | 250万円 |
2020大阪 | 松田瑞生 | 設定A | 1000万円 | 500万円 |
2020年の東京マラソン以前の褒賞額は選手に2億3,500万円、監督・チームへ6,750万円。合計すると3億250万円。
今回の東京マラソンで2時間7分台までのタイムでゴールした選手は10人。
報奨金予定額はこちらです。
大会名 | 選手名 | 奨励内容 | 選手報奨金 | チーム報奨金 |
2020東京 | 大迫傑 | 日本記録 | 1億円 | |
2020東京 | 高久龍 | 設定A | 1000万円 | 500万円 |
2020東京 | 上門大祐 | 設定A | 1000万円 | 500万円 |
2020東京 | 定方俊樹 | 設定B | 500万円 | 250万円 |
2020東京 | 木村慎 | 設定B | 500万円 | 250万円 |
2020東京 | 小椋裕介 | 設定B | 500万円 | |
2020東京 | 下田裕太 | 設定B | 500万円 | 250万円 |
2020東京 | 菊池賢人 | 設定B | 500万円 | 250万円 |
2020東京 | 一色恭志 | 設定B | 500万円 | |
2020東京 | 設楽悠太 | 対象外 |
*小椋選手・一色選手の監督・チームへの報奨金はチーム内の最高記録のみのため対象外
*設楽選手は2018年に報奨金を授与されているが、その時の記録を上回っていないため対象外
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東京マラソン2020の報奨金授与額合計は1億7,000万円
プロジェクトスタートからの報奨金授与額の合計は4億7,250万円
2018年12月の会長メッセージによると、Project EXCEEDの褒賞金、奨励金は以下の通りです。
・実業団主催の駅伝大会の放映権料の中から貯めてきた実業団留保金 1億5000万円
・30社を上回る実業団加盟各社からの協賛金 2億円以上
・一般財団法人アールビーズスポーツ財団 日本記録を突破した選手に対して年間男女各1名に5000万円の褒賞金を分担
プロジェクトスタートからの報奨金授与額合計4億7,250万円のうち、日本記録3回の報奨金として一般財団法人アールビーズスポーツ財団が1億5,000万円分担するので、その金額を差し引くと3億2,250万円になり、上記の実業団留保金+協賛金で3億5,000万円以上なので残額は800万円よりあるように感じますが、受賞セレモニーなど運営費にも少なくない費用がかかるので、現在の残額は800万円程度ということなのでしょう。
実際、2018年12月の会長メッセージにも、その時点で日本記録が出ても選手に1億円は支払いできるが、チーム報奨金は不足する。そして、このProject EXCEEDは財源を使い果たしたところで終了する制度と掲載しております。
名古屋ウイメンズマラソンと、びわ湖毎日マラソンの報奨金について
日刊スポーツの記事によると、名古屋ウイメンズマラソンと、びわ湖毎日マラソンで日本記録が出たとしても、約533万円になると掲載されているが、私が調べて内容に間違いがなければ、名古屋ウイメンズマラソンで日本記録を出した選手がいた場合には、一般財団法人アールビーズスポーツ財団からの褒賞分担金5,000万円は残っているように思います。(男子は既に大迫選手の日本記録で終了)
また名古屋ウイメンズマラソンのスタートは9時10分で、びわ湖毎日マラソンは9時15分です。Project EXCEEDの財源が残り800万円だとすると、5分遅れでスタートするびわ湖毎日マラソンの褒賞対象選手の方が現実的には先にゴールするため、日本記録を含めて2時間6分59秒以内で走った選手がいる場合は上位1位の選手のみチーム報奨金を含めて800万円が授与され、2位以下の選手には報奨金はありません。2時間7分台の選手がいた場合は1位の選手は500万円(チーム報奨金250万円)で、2位の選手はチーム報奨金含めて50万円ということになります。
名古屋ウイメンズマラソンは、びわ湖で褒賞対象者がいない場合は上記と同じ金額になり、日本記録の場合は、その金額に5,000万円が加算されるのではないかと思います。
両大会に選手が出場する実業団チームにはそのあたりが通知されていると思いますが、上記はニュースやプロジェクトで公開された記事の内容から推測したものです。したがって実際の対応とは変わるかもしれません。びわ湖毎日マラソンで、大迫選手の日本記録を破るようなことになれば、スポンサー企業などから何とかして協賛金を集めるように思いますが実際どうなるのでしょう。
このプロジェクトの創設意義は
男女とも日本記録が長らく破られていない状況を打破し、マラソン日本記録を越える複数のスター選手を輩出し、その勢いをもって東京2020オリンピック時メインスタジアムにマラソンで日の丸を掲げること。
とありますが、東京マラソン2020で日本人選手が10人も2時間8分を切るという素晴らしい結果を出したことからプロジェクトを立ち上げた目的は十分に達成したと言えるでしょう。
こちらは2015年3月30日記者発表時の記事です。
マラソン日本新記録で1億円