2017年世界陸上競技選手権大会の男子マラソン代表選考レース最終戦のびわ湖毎日マラソンで日本人1位の佐々木 悟選手が2時間10分10秒(全体の4位)でゴールした日に書いた記事です。
その当時の日本代表選考はタイムだけではなくレース展開などを多角的に評価して決定されたので、選出されなかった選手らから恣意的な決定だとクレームが出ることなどありました。
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こちらが、その時の代表選手選考要項が発表された時に書いた記事です。
そして実際に選考されたのはこちらの3人です。
第 16 回世界陸上競技選手権大会(2017/ロンドン)マラソン日本代表選手
そして世界陸上の結果について書かれた記事はこちら。
川内、中本、井上の3人は
「何を考えて世界陸上マラソンを走ったか」
何を今更、3年前の記事を持ち出したかと言うと、ずいぶん変わったもんだ。と思ったからです。
選考4大会のタイム順に6人並べるとこのような結果でした。
- 2:08:22 井上 大仁 東京
- 2:09:11 川内 優輝 福岡
- 2:09:12 山本 浩之 東京
- 2:09:27 設楽 悠太 東京
- 2:09:32 中本 健太郎 別大
- 2:10:10 佐々木 悟 びわ湖
選考要項に福岡国際、東京、びわ湖で2時間7分以内で走った日本人1位は即時内定とありましたが、2時間6分台なんて無理でしょう。と多くのマラソンファンが思っていた時代でした。
選手もそのタイムを狙うことなく日本人一位を狙うようなレース展開が続きましたが、東京マラソン2017では設楽悠太選手が日本記録を大きく上回るアグレッシブなレースをしました。その時このように書いています。
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一部抜粋すると
日本人1位の井上選手の走りは素晴らしかったが、それ以上に素晴らしいと思ったのは、設楽悠太選手です。今回、キプサングが序盤から世界記録を上回るハイペースで走る高速レースとなりましたが、マラソン初挑戦の設楽悠太(ホンダ)が日本記録を大きく上回るペースで折り返し地点を通過したが、30キロ過ぎからペースを落とし、徐々に追い上げた井上に38キロでかわされたが、今の日本の長距離陣に必要なのはこのような積極的なレースではないでしょうか?
この時の井上選手と設楽選手のラップです。
井上選手 14:31-14:42-15:09-15:12-15:20-15:18-15:25-15:46-06:59
設楽選手 14:31-14:41-14:32-14:50-15:15-15:34-15:46-16:41-07:37
当時の日本記録は高岡選手の2時間6分16秒のペースを5kmに換算するとおよそ14:57です。
マラソン初挑戦の設楽選手がいかに凄いペースで走っていたかが分かるでしょう。
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このレースから日本のマラソンが少しづつ動いてきました。設楽選手は翌年の東京マラソンで日本記録を更新し、その記録はその年のシカゴマラソンで大迫選手が破り、今年の東京マラソンでは大迫選手がさらに日本記録を更新しました。
しかし、2017世界陸上の代表選考4レースでサブ10(2時間10分以内)が5人しかいなかったのが、今回の東京マラソン 1レースで19人です。
2時間5分台 1人
2時間6分台 2人
2時間7分台 7人
2時間8分台 5人
2時間9分台 4人
3年前の井上選手のタイムでは今回日本人10位にも入れません。
そのような話になるとすぐにナイキの厚底シューズの力だ。と言う方もいますが、着目してほしい点があります。
それは優勝タイムです。
2017年 ウィルソン・キプサング 2時間3分58秒(自己ベスト 2時間3分13秒)
2020年 ビルハヌ レゲセ 2時間4分15秒(自己ベスト 2時間2分48秒)
2017年の優勝者のキプサングと、今年の優勝者のレゲセはどちらも世界トップランナーの一人です。また二人とも自己ベストと比較して1分前後のタイムで東京マラソンを走っています。
その比較においては、日本人1位のタイムが2時間8分22秒から2時間5分29秒と3分近く短縮し、前回日本人10位の比較では、2時間13分29秒から2時間7分45秒と大きく短縮しているのです。
もちろんシューズの影響もあるとは思いますが、それまで日本人選手の中にあったサブ10(2時間10分切り)は難しいという気持ちが自分にも切れる。と壁が取り払われてきたのでしょう。
さて、話は最初に戻って、今回のMGCシリーズは非常に分かりやすく、選手にとっても納得感のある選考方法だと感じました。
週末のびわ湖毎日マラソンで代表選考は終わりますが、どのようなレースになるか楽しみです。