56歳で5000m自己ベストの意味

10月22日織田フィールドで開催されたM×Kディスタンス5000mで従来の記録を11秒更新する17分42秒5の自己ベストを出すことができました。今回は良いタイムを出す上で必要なさまざまな条件が重なりました。その辺りを紹介していきます。

(画像は何人かの友人が撮影してくれました。ありがとうございます。)

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リザルト

5000m 3組目 

17分42秒5(自己ベスト)

ラップ

43.5-83.8-85.4-85.6-86.8-86.8-85.9-85.5-86.8-87.0-84.7-84.7-76.1

従来の自己ベストは2021年10月21日のM×Kディスタンス5000mで出した17分53秒2なので10秒7更新しました。

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レース展開

42人がエントリーし36人が出場した3組には17分00秒から18分00秒まで4人のペースメーカーがつきました。したがって17分切りを狙うランナーから18分切りを狙うランナーが走る組です。17分で走るためには1周81.6秒で、18分で走るためには1周86.4秒と1周あたり4.8秒差なので、スタートしてしばらくは36人の選手が固まって走り、徐々にバラけてくる感じです。

私は、17分45秒ペーサーについて自己ベストより速いタイムで周回を重ねるか、18分ペーサーについて17分台を狙いつつ、終盤上げる余裕があるなら7秒を削り出して自己ベスト更新を狙うかを迷いましたが、1500mを走って1時間少ししかなかったのでスタートして身体がどの程度動くか流れに身を任せることにしました。

また、中距離を始めてからスタートで一気に加速する感覚が身につき今年9月24日と25日に2日連続して走った5000mでもいつもの感覚でスタートすると先頭を走っていて、150mくらいから徐々にペースを落ち着けて抜かされていくのだけど、その時にペースを落としすぎてしまうこともありました。

ちなみにその時のタイムは18分21秒9と18分36秒74でした。

2レースとも気象コンディションは悪かったにしても、この時の感覚ではとても5000mで自己ベストどころか17分台を出せる状態にはありませんでした。

今回はスタートが2列目ということもあり物理的に飛び出せない状況ではありましたが、抑えて入ることにしました。序盤は密集しているのでとにかく接触に気をつけて、また余計なストレスを感じないよう淡々と走りました。18分ペーサーにつく選手も多く長くなりましたが、ペーサーとは距離が開いても構わないと集団の最後尾を走りました。5000mは3000mから4000mがキツイと言われていて実際私もそのあたりで苦しみます。したがって3000mである程度余裕を残していけたら記録はついてくる。

腕時計は見ないで、フィニッシュ地点のタイムを見て頭でペースを計算しないで、とにかくペースメーカーを信じて集団最後尾からついていく。最後までこの位置にいればラスト力を振り絞ってペースメーカーに追いつけば18分は切れる。7秒引き離したら自己ベストが出せると走りました。

タイムやペースを考えると計算で頭が疲れるというよりから、キツくなってきた時に、あと何秒余裕があるから少し落として良いと考えたり、逆にこのペースを残り2000mも保つのは難しいなどネガティブな方に振れやすくなります。

今回はとにかく3000mまでは展開なども考えずに淡々と距離を進めて残り距離を減らすことだけを考えていました。そして18分ペーサーに着く選手も一杯一杯の方が少ないのか上げ下げをする選手が少なく前の選手との感覚を保ち一定のペースで走っていたように感じます。結構強引に前に入ったかと思うとペースダウンするを繰り返す選手っているけど走りにくいです。

レース中の記憶は曖昧になっているけど3000mは無難に通過し、そこからは残った体力を考えながら、どのタイミングでペーサーの前に出るかを見極めながら走りました。出るタイミングが早すぎると終盤失速してペーサーに再度抜かれて18分切りも逃してしまう。

ラスト3周のどこかのタイミングで、前にいる選手を抜いてペーサーの前に出る。そして少し前にいる17分45秒ペーサーが引っ張る選手を追いかける。ラスト2周になり時計は15分02秒だったので、1周89秒でも18分は切れることは分かったが、このまま走れば自己ベストにも届きそう。もちろんキツイけど自己ベストが出せるタイミングなんてそうあるものではない。あと2周耐えれば良いのだから粘るしかない。4200-4600mは記録証を見ると84.1秒だった。ラスト1周のことはあまり覚えていないけど、残り200mからは残った力を振り絞って前のランナーに追いつき抜かした。電光掲示を見て自己ベスト更新は確信し、そのままフィニッシュ。

ラスト1000mを計算すると、およそ3分23秒でした。今回の収穫はラスト1周上げるのではなく、ラスト3周から上げていくことができたことです。レース前日には自己ベスト更新どころか、9月と同じくらいのタイムになるのではないかなんて思っていたのだから大満足のレースとなりました。

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自己ベストの要因

種目問わず自己ベストを出すには、外的要因と内的要因があります。自分でコントロールできる内的要因と違ってコントロールできない外的要因はまさに時の運です。ただその時に運が良くても、自己ベストを出せる準備ができていなければそのチャンスを逃します。

感じたことをいくつか書いておきます。

外的要因

  • 5000mを走るには絶好の気象コンディション(無風・気温・湿度)であった。
  • しっかりラップを刻むペースメーカーの存在
  • 参加者はレベルが高いだけではなく、走行マナーがかなり良かった。
  • フィニッシュ地点あたりで、名前で声がけしてくれる方がいた。ウルプロメンバーが動画撮影しながら応援してくれていた。

気象コンディションの影響が大きいのは当然として、それ以外の3つも非常に大きい。一緒に走る選手の影響も非常に大きく、先ほど書いたように急に割り込んだりする選手もいないし、経験豊富な選手が多いのかペースが安定していた。そのため淡々と走ることができたのです。

リザルトによると、3組目は36人走って3人がDNFのため33人が完走。そのうち32人が18分を切ったのです。(32位は17:56.6)申告タイムにより組分けされますが3組目のペーサー設定を考えると17分から18分切りを狙った選手が集まった組です。おそらく大半の選手が思うようなレースができたのでしょう。

内的要因

自己ベストを出すために、自らコントロールできること、しなければならないことはたくさんありますが、走力については地道に積み重ねていくしかありませんが、レース直前の過ごし方でもタイムは大きく変わります。種目によって多少変化はありますが今回良かったと思うことを書きます。

・前日まで身体が重い感じ、疲労が溜まっている感じがしたので、朝、ケッズトレーナーの予約ページをチェックして短時間でも予約を取れないかとチェックしたら12時が空いていたので予約して行ってきました。いつもケアしてもらっているスタッフとは違いますが、ベテランの福嶋トレーナーが担当してくれました。福嶋トレーナーから、どのような状態にしたいですか?と聞かれたので『とにかく体が軽く動くようにして欲しい』と伝えたところリクエスト通りになりました。昼や夜の都内近郊での記録会などであれば当日に調整してもらってから走るのは有効だと思います。

・これは中距離レースの時からしていることですが、スタート前に少し感覚を開けてアスリチューン・エナゲインを2つ摂取、そしてカフェインを摂取しました。今回の5000mではエナジージェルは使わなかったけど、これからのロードレースではポケットエナジーをレース前にも使います。

・1500mから1時間少ししか時間がない中で、身体を良い状態にするために低周波マッサージ機ルコエランを使いましたが、時間が限られているので、福嶋トレーナーに今日の状態だとどこに貼ったら良いか?を聞いたところ1500mは膝下も結構使うから、ふくらはぎと脛に使ってください。尻周りは適度な刺激が入って良い状態だと思うから使わないでください。また腰にも使った方が良いとアドバイスをもらいましたが、腰に使う時間はなくふくらはぎと脛に使いました。

・1500mで適度な刺激が入ったと考えればそれはプラスですが、実際は結構疲れて、5000mスタート前に流しをしても走る気にならない状態でした。体も疲れているけど、気持ちが疲れている感じでもありました。ただ5000mは元々メタスピードエッジ+を履こうと思っていましたが、1500mで使ったアルファフライの感触が良かったので、そのままアルファフライを履きました。序盤はとにかく足踏みするくらいの気持ちで走りましたがシューズ選択も今回の結果に結びついたと思っています。

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1500mはセカンドベスト

1500mの結果も書いておくと4分43秒7のセカンドベストでした。

自己ベストは今年5月のOTTで出した4分42秒8なので、あと0秒9でした。今回は5000mがメインだったので自己ベストを狙うような走りはしなかったのですが、こちらをメインに考えて走れば自己ベスト出せたと思います。

こちらはフィニッシュ直前の画像です。

展開とすると、こちらも2列目スタートなのでいつものようにスタートでポンと前に出るような走りができず、そもそも4分50秒を切るタイムで良いと思っていたので4分50秒ペーサーを目安にしました。1100mまではそのペースで淡々と進み、ラスト1周は71秒9とキロ3分切ってしっかり上げました。リザルトを見るとラスト1周で6人抜きました。

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56歳で5000m自己ベストの意味

2022年はハーフマラソン、フルマラソン(公認)の自己ベストを出した後、春から夏にかけて800mと1500mの自己ベストを何度か更新しました。もちろん中距離の自己ベストは嬉しいけど、現在はキャリアが短いから伸び代があり、多少コンディションが悪くても自己ベストを狙えるという状態です。

それに比べて5000mは結構昔から走っているので中々タイムを伸ばすのが難しい種目でした。昨年出した17分53秒にしても私を以前から知る方達からすると驚きのタイムだったようですし、自分自身でもようやく17分台を出すことができたと思ったタイムです。

こちらは昨年末に書いた書いた記事ですが、今年も自己ベストを出しているので18年連続自己ベストは継続中です。

その中に掲載している5000mのタイムを抜き出すと、このような感じになります。以下のタイムは自己ベストを更新した時だけなので、それ以外にも5000mは走っています。

タイム年齢
19’382008年41-42歳
19’222009年42-43歳
19’002012年45-46歳
18’572014年47-48歳
18’132019年52-53歳
17’53.22021年55歳
17’42.52022年56歳

19分台を初めて出したのは41歳か42歳。そこから18分台は遠くて47歳か48歳でようやく出すことができました。ただこの当時は出場回数が少なかったりウルトラマラソンの合間だったりでした。そして52歳か53歳で18分13秒が出たことで17分台が狙えると思いましたが、そこから17分台を出すには2年かかりました。そしてその記録を今回10秒以上更新したのです。

生理学的に人間は50歳を越えれば筋力や持久力など落ちてきます。加齢のマイナス影響をカバーしつつタイムを上げるためには、同じことをしていてはダメだということです。同じことをしていれば現状維持もできません。

そして、タイムを伸ばすことを義務感にしないで、どのようにすれば伸びるだろうかの試行錯誤を楽しんでいます。

できないことを少しづつできるようにしていく試みは、ウルプロでコーチをしていく上でも大きな力になっています。

ウルプロには20代から70代のメンバーが所属していますが、50代、60代で自己ベストを出すメンバーは珍しくありません。もちろん自己ベスト更新を目指すだけがランニングの楽しみではありませんが、過去の自分を超えることは嬉しいことです。私は学生時代に陸上経験がなく市民ランナーとして40歳手前から走り始めました。当然ながら全くできないこと、全く知識がないところからのスタートでしたが、そこから少しづつできるようになりました。

この点に関しては現在コーチとして大きな力になっています。なぜならメンバーができないこと、動けないこと、理解できないことを自分が体験し、できるようになる過程やきっかけも経験しているのです。

今度、どこまでタイムを伸ばせるかは分かりませんが、まだ余地はたっぷりあると感じています。中距離からスピードを積み上げて、5000mでも以前より1ランク上に上がることができました。今後はハーフマラソンやフルマラソンでもレベルアップを目指し、それを100kmなどウルトラマラソンに繋げます。

昨年初めて17分台を出した時に書いた記事です。

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