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阿蘇ラウンドトレイルの存在を知ったのは昨年大会に参加したウルプロメンバーの投稿で、終盤のコースがツルッツルで大変だったけど素晴らしい大会だと教えてくれた。
私はツルッツルの下りを走るスキルはないし、ケガをしないことが大前提なので、私が出る大会ではないと当時思っていた。
しかし、今回のエントリー前に前回非常に滑った下りを通らないコースにするという情報があり、それなら久々に阿蘇に行きたいとエントリーした。
私はロードと比較してトレランは遅いのでタイムや順位にこだわらずに、阿蘇の自然を感じながら脚作りをして、安全にゴール出来たら良いと思っていた。その過程で、さまざまな気づきはきっとあるはず。
1年8ヶ月ぶりのトレランレースなので、山に入って練習したいと思うも、フルマラソン連戦に続き、茨城100Kやチャレンジ富士五湖があり、それらの大会に備えた練習や身体のリカバリーを優先していたので、山に入る時間を作れず、結局1回も山に入ることなく本番を迎えた。
それでも完走出来ないかも?という不安は全くなかった。
トレランを舐めてるわけではなく、無理をしてタイム短縮を狙わなければ、ゴールに辿り着ける身体やメンタルは持っている。もちろん長い距離、長い時間のレースだから何がしらのトラブルは起きるし、絶対に完走できるなんて有り得ないが、大トラブルがなければ完走する自信はあった。
そうは言っても完走を目標にしてしまうと、あまりにも漠然としてしまうので、レース直前に時間を見つけてコースは少し違うが、昨年の大会結果を分析して、タイムシュミレーションを作り、レース展開をイメージした。
区間ごとのタイムの積み重ねで24時間としたが、上記記事にも書いたが24時間にこだわりがあるわけではなく、走った感覚でもっと速くなることも遅くなることもある緩い目安であった。
参加する大会の制限時間や関門時間を気にすることは滅多になく、今回も参考程度に記載したが、作った時はまさか関門時間を気にする展開になるとは夢にも思わなかった。
ただ、レース直前の天気予報で真夏日になることを知り、24時間以内というタイムは厳しいと思い、出来る対策をしてスタートラインに並んだから、身体の状態に合わせて走ることにした。
今回、暑さに苦しめられたランナーは多かったが、私も苦しめられた一人だ。
ただ、事前準備とレース中の対処で大きなトラブルは回避できた。それなのに、なぜ関門時間が気になるような展開になったかというと、「山を走る脚が出来てなかった。」に尽きる。そもそも山に入ってないのだから当然の結果と受け止めている。
また、当初考えていた通り、ケガなく完走できたことは嬉しい。
そもそも絶対に達成したい目標タイムなどはなく、その時々の身体の状態に合わせてゴールに辿り着いたことにホッとしている。
その上で今後のために何が起こったかを記憶が明確なうちに書いておく。
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今回予想外だったのは暑さではなく、後半戦に入るくらいまでは十分にもつと思っていた脚が、スタートしてWS1に行かない時点で終わりに近づき、AS1を過ぎた頃にはほとんど売り切れていたこと。まさかこんなに早くとは想定もしてなかった。
原因はシューズの選択ミスにあったが、その選択ミスの原因は山に入って試していないことだから、起こるべきして起こったトラブルだったので後悔はしていない。
シューズ以外にも山に入っていないことから準備が不十分だったことがあった。それは必携品以外にも安全マージンを高めるための装備や十分な水分、そしてアスリチューンなど行動食を詰めたバックパックはスタート前から重いと感じていた。ペースが遅ければ大丈夫と思っていたが、重さからランニングフォームが崩れ、特に腰が落ちた。また、下りの衝撃は普段よりかなり強く感じた。安全マージンを保った上でも500gは減らせたので、準備不足だった。例えば3.5kgなら軽く感じるが、4kgになると重く感じるなど、人それぞれ重さを感じる境界線のようなモノがあるが、今回はそこへの配慮が希薄であった。
今回、シューズ選択のミスから草原エリアで何度か足首を捻ってしまった。スピードが出てないのでダメージは小さいが、過去100km以上のトレイルを何度も走っているが、こんなことは初めてだったのでショックを受けた。
読んだ方の参考になるので、その時の状況を書くと、草原エリアの斜面を巻くように走るコースの大半は前後だけではなく左右にも傾斜(バンク)がついている。その傾斜をソールが厚いHOKAチャレンジャーATR3で走ったことから少し滑ったり重心がズレると足首に大きな負担がかかり、嫌な痛みを感じた。
何回かそれをしてしまった後は怖さから下半身に力を入れてしまったり、重心を過度に落とすようになってしまった。また後半パートほどではないが前半パートにも滑りやすい路面があり、その場所ではシューズがグリップするような走りにもなっていた。またシューズが多少緩かったのか、下りではシューズ内で足が動き指が当たり痛みが出るので、そうならないように指を縮めたり、アーチを作るような動きをしたり、前にいかないように踵から接地をした。
また、バックパックで重たくなった身体で、下り斜面を走るのだから落下エネルギーは平地とは比べようもないくらい大きくなる。そして足の指を庇い踵接地をしたものだから、接地の衝撃を上手に逃がすことが出来ずに、前ももでまともに受けてしまった。
それらの繰り返しをしたのだから、20kmで脚がほぼ終わったのも当然だ。
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シューズに関しては、AS4のドロップバッグに履き慣れたサロモンS/LAB SENSE ULTRAを入れていたのでここで履き替えた。もし用意してなく、そのまま後半のスリッピーな箇所に向かったら安全に通過できたか分からない。
なぜ信越五岳100マイルやONTAKE100を走りトラブルがなかったシューズを選択しなかったかと言えば、少しソールが摩耗していたことと、ロードではナイキ ヴェイパーフライ4%などソールの厚いシューズを履いて足首など痛めたことはなかったことから厚いソールに慣れていると過信したからだ。
旧モデルのサロモンS/LAB SENSE ULTRAは足型が合っているからフィット感がよく、またグリップが良いことから、下りで指先が痛くなることは解消し、滑るのが怖いと感じた路面も不安なく通過できた。
ただ、その時点では脚が終わっていたので、そこから巻き返すような走りにはなっていない。
参加ランナーの足もとを見るとHOKAでもスピードゴートを履いてる方は多く、履いてるランナーに聞くと「グリップがよく安心して走れる。チャレンジャーATRも持っているが、このコースでは使う気になれない。」とも話していた。
シューズを滑らしながら下るテクニックをもつトレラン上級者なら、グリップの強いスピードゴートではなく、チャレンジャーを選ぶケースはあるが、私はそのレベルにはなく、してはいけない選択をしてしまった。
脚が完全に終わったら先に進めなくなるので、そこからは残った僅かな脚を大事に使いゴールを目指す戦いが始まった。
もうトレイルランニングではなくトレッキングだった。
100km残した序盤に脚が終わることは想定していなかったが、そこからはエイド毎に脚をマッサージして少しでも動くようにしながら進んだ。歩くのも厳しくなれば危険だが歩いている分には十分に動く。しかし走れば20分もかからない走りやすい3、4kmほどの下りの舗装路が走れないと中々距離は進まない。
当初シュミレーションの区間タイムから相当遅れているが、もう一歩一歩進むしかないのだから出来ることだけを考えて前を向いた。
120km以上のレースの20kmで脚が終わるなんて超ビギナーみたいだと、なんだかおかしくなったが、考えようによっては、これこそレース前に考えていた非日常体験なんだと思った。
この状況を楽しもう。
可愛い猫にも会えたし。
20km地点とはこの辺り・・・。
阿蘇ラウンドトレイル④ に続く